原則 1・2 / 6
🔍 関心を寄せる/表情
Interest & Smile
👑 アテナ様の洞察 👑
「PART 1で土台ができました。ここからは信頼という無形資産を積む章ですわ。
六原則はどれも小さなこと。ですが経営では、この小さな差が「同じ条件なら、あの人から買う」という判断を作ります。
条件が拮抗したときに何で決まるのか——その答えがこの6つですのよ。🔍」
◆ PRINCIPLE 1 ◆
相手に、誠実な
関心を寄せる
売り込む時間を、理解する時間に置き換える
カーネギーがここで持ち出したのは犬でした。犬は何も売り込まない。気の利いた提案もしない。
ただあなたに会えて心から嬉しそうにする——それだけで、世界中で愛されています。
裏を返せば、私たちは「どうすれば気に入られるか」を考えすぎているということ。
答えは逆で、先にこちらが相手へ関心を持つ。順番の問題ですわ。
ビジネスでの翻訳
与信情報と発注履歴は誰でも見られます。差がつくのはその先。
「この部署が今期一番困っていること」「担当者が社内で何を評価されたいか」「決裁者が去年何に失敗したか」
——これを知っているかどうかで、次の提案の切り口がまるで変わりますのよ。
そして重要な区別を。情報収集と関心はまったく別物です。
先方のIR資料を読むのは準備作業。読んだ内容を覚えていて、相手本人に話題として返すのが関心ですわ。
🌿 商談5分の使い方を変える
一度に聞き出す必要はありません。商談の冒頭5分、雑談の3分——そこで出てきた一言をメモしておくだけ。
「来期から組織が変わるんですね」「その案件、社内では誰が推しているんですか」
月に4回訪問すれば、1年で50個近い断片が集まります。それが、他社の営業が絶対に持っていない情報資産になりますのよ。
マネジメントにも同じことが言えます
部下について、評価シートに書いてあること以外を何個言えるでしょうか。
関心を寄せている上司だけが、退職の予兆に気づけます。
「いつもと違う」が分かるのは、いつもを知っている人だけ。関心は、優しさである前にリスク管理ですわ。
◆ PRINCIPLE 2 ◆
笑顔を忘れない
言葉より先に、表情が相手に届いている
「笑顔で接する」——当たり前すぎて飛ばしたくなる原則です。
ですが現代のビジネスには、この原則を著しく難しくした事情がありますわ。
画面越しの会議です。
カメラは表情の情報量を大幅に削ります。対面なら「普通」の表情が、画面では「不機嫌」に見える。
しかも本人だけが、それに気づけません。
😑
伝わらない
画面下から見上げる角度
相づちが無音・無動作
不機嫌に見えている
😊
伝わる
カメラを目線の高さに
うなずきを大きめ・多め
反応が読めて安心される
画面越しの「笑顔」は、目・声・うなずきの3点セット
目尻を下げる。声を半音上げる。うなずきを対面の1.5倍にする。
特にうなずきは効きます。話している側が最も不安なのは「伝わっているか分からない」こと。
反応が読める相手は、それだけで信頼されます。
🤔 「作り笑いに意味があるのか」
カーネギーは、そこを正面から扱っています。
表情には「感情が表情をつくる」だけでなく「表情が感情をつくる」向きがあります。口角を上げると、脳が「今は機嫌がいいらしい」と判断しはじめる。
経営者は感情の発生源です。トップの機嫌が悪い日は、組織全体の意思決定が慎重に傾きます。
感情が湧くのを待つのではなく、先に形を作る。これは自己管理の技術でもありますのよ。
ただし、笑顔が不適切な場面もあります。
重大な事故の報告を受けているとき。相手が損害を被って怒っているとき。整理解雇を伝えるとき。
ここで笑顔を作ると「軽く扱われた」と受け取られ、決定的に信用を失います。
原則2が言っているのは「常に笑え」ではなく、「あなたと会えてよかった、が伝わる表情でいなさい」ということですわ。
原則 3・4 / 6
📛 名前を覚える/聞き手にまわる
Name & Listening
◆ PRINCIPLE 3 ◆
名前を覚え、
名前で呼ぶ
名前は、その人にとって最も特別な響きを持つ言葉
カーネギーは、名前を「その人にとって最も心地よく、最も大切な音」だと書きました。
そしてビジネスでは、これが驚くほど軽視されています。
チェックしてみてくださいませ
▸ 社内で取引先を「〇〇社さん」とだけ呼んでいないか(人ではなく法人で認識している)
▸ 商談中、相手の名前を一度も口に出さずに終えていないか
▸ 同席した相手方の若手の名前を、翌日に言えるか
▸ 現場の社員の名前を、経営者として何人言えるか
特に3つ目。決裁者だけ覚えて、同席した若手を覚えない——これは相手に完全に伝わります。
そして数年後、その若手が担当者になったとき、記憶は残っていますわ。
🎯 呼びかけクイズ
2回目の訪問。前回は課長と若手2名が同席していました。今日も同じ3名です。
Q. 会議室に入って、最初のひと言は?
経営者にとっての応用
従業員数が増えるほど、経営者は人を「部署」や「役職」で認識しはじめます。それは効率上やむを得ない面もあります。
ただ——名前で呼ばれない人は、その組織に居場所を感じません。
エンゲージメント調査に投資する前に、すれ違ったときに名前で挨拶できる人を10人増やすほうが、たいてい効きますのよ。
◆ PRINCIPLE 4 ◆
聞き手にまわる
話し上手より、聞き上手のほうが信頼される
売れない営業ほどよくしゃべります。説明が足りないから決まらないのだと思って、さらに足す。
実際には逆で、しゃべるほど情報が入ってこなくなります。
目安:商談は相手7割・自分3割
相手が7割話す商談では、予算・決裁ルート・競合・社内の反対勢力が自然に出てきます。
自分が7割話す商談で得られるのは、「検討します」の一言だけですわ。
——同じ1時間で、持ち帰る情報量が10倍違いますのよ。
そしてもうひとつ。聞き手にまわるとき、経営者・上司が最も犯しやすい失敗があります。
「解決してしまう」ことですわ。
🔧
解決モード
「それはこうすれば」
「まあよくあることだよ」
話がそこで終わる
👂
傾聴モード
「そうだったんですね」
「それは、しんどかったね」
本題が出てくる
👂 傾聴シミュレーター:辞意をほのめかす中堅社員
1on1の終わりぎわ、席を立とうとした瞬間に切り出されました。選んでみてくださいませ。
🧑💻
入社6年目・チームリーダーの宮本さん
「あの…最近ちょっと、自分がここで何をやってるのか
分からなくなることがあって…」
(成果は出ています。今期の評価も高い方です)
💰 傾聴のコスト計算
中堅社員1人の採用・育成コストは、業種にもよりますが年収の半分から数倍と言われます。
一方、この場面で必要だったのは座り直して聞く15分でした。
傾聴は情緒的なテーマに見えますが、投資対効果で見ても圧倒的に割のいい行動ですのよ。
原則 5・6 / 6
🎣 関心事を話題に/重要感
Their Interests & Importance
◆ PRINCIPLE 5 ◆
相手の関心事を
話題にする
自社の話ではなく、相手が語りたいことを
原則1で集めた断片が、ここで効いてきます。関心を寄せる(原則1)→ 話題にする(原則5)——2つは一本の線ですわ。
商談の冒頭は、放っておくと天気・交通・時候の挨拶に固定されます。
どれも失礼がなく、どれも相手が誰でも成立する話題です。つまり何も残りません。
その人にしか通じない話題を、ひとつ持つ
「前回おっしゃっていた新工場の件、動き出しました?」
「御社のリリース拝見しました。あの体制変更、現場は大変だったのでは」
——これはこの相手にしか使えない言葉。だから記憶に残りますのよ。
📊 準備は5分で足ります
訪問前の5分で、プレスリリース1本・採用ページ・決算短信の冒頭だけ見ておく。
これだけで「うちを見てきてくれている人」になります。
ほとんどの競合はやっていません。だから、たった5分で差がつくのですわ。
社内にも効きます。
経営者と社員の会話が「数字」と「依頼」だけになっていないでしょうか。
相手が力を入れていること、最近学んでいること——仕事以外の関心事を1つ知っているだけで、頼みごとの通り方が変わります。
◆ PRINCIPLE 6 ◆
心から、相手に
重要感を持たせる
六原則の総仕上げ。そして黄金律
PART 1 の原則2でも「重要感」を扱いました。あちらは認める(ほめる)側からの話。
こちらはもう一歩進んで、相手を「上」に置く話ですわ。
そしてビジネスでは、これが情報収集の最強手段でもあります。
人は、売り込まれると口を閉じ、教えを請われると口を開きます。
「弊社のサービスをご説明します」→ 相手は防御態勢
「御社の業界、正直まだ理解が浅くて。ここ、教えていただけませんか」→ 相手は説明したくなる
——後者から得られる情報の質は、前者の比ではありませんのよ。
🔄 「説明する」から「教わる」へ
同じ場面で、立場を入れ替えてみる3つの例です。
💼 場面1:業界歴の長い取引先のベテラン担当者
つい
「さすがお詳しいですね。勉強になります」
原則
「この業界、5年前と今で一番変わったのはどこですか? 外から見ていると分からなくて、ぜひ伺いたいんです」
💡 なぜ効くか:ほめるのは「上から」の行為でもあります。教わるのは「下から」。後者のほうが重要感は圧倒的に強く伝わり、しかも本物の業界知識が手に入ります。
💼 場面2:自分より現場を知っているベテラン社員
つい
(経営判断として、決めてから伝える)
原則
「決める前に教えてほしいんですが、この案、現場で回すとしたらどこが一番きついですか」
💡 なぜ効くか:重要感を渡すと同時に、実行段階のリスクを事前に潰せます。しかも意見を聞かれた人は、その決定を自分ごととして守ります(PART 3 原則7へつながります)。
💼 場面3:失注した案件の相手先
つい
「残念です。またの機会によろしくお願いします」
原則
「今後のために教えていただきたいのですが、弊社の提案で一番弱かったのはどこでしたか。率直に伺えると助かります」
💡 なぜ効くか:失注時こそ、相手は最も正直に話せる状態です(もう売り込まれないので)。しかも「教えを請う姿勢」は好感として残り、次回の指名につながることが実際によくあります。失注は情報を取る最後のチャンスですわ。
六原則の底には、ひとつの言葉が流れています。
——「自分がしてほしいように、人にもしなさい」(黄金律)。
関心を持たれたい。感じよく迎えられたい。名前で呼ばれたい。話を聞いてほしい。自分の得意分野を語りたい。一人前として扱われたい。
六原則は全部、あなた自身が取引先や上司に望んでいることばかりですわ。そのまま相手に差し出せばよいのです。
PART 2 まとめ
📋 六原則を、明日の現場に
Take it back to the office
👑 人に好かれる六原則 👑
①誠実な関心を寄せる — 気に入られようとする前に、こちらから関心を持つ。断片を集めて情報資産に。
②表情 — 画面越しは「目・声・うなずき1.5倍」。トップの機嫌は組織の意思決定に伝染する。
③名前を覚える — 法人ではなく人を認識する。決裁者だけでなく同席者も。
④聞き手にまわる — 商談は相手7割。解決せずに聞く15分が、採用コストを丸ごと節約する。
⑤相手の関心事を話題にする — 天気ではなく、その相手にしか通じない話題を1つ。準備は5分。
⑥心から重要感を持たせる — 説明するより「教えてください」。最強の情報収集手段でもある。
六原則に、新しい技術はひとつもありません。
全部「知っていること」です。ではなぜ本になるほど重要なのか。
——知っていても、忙しいとやらなくなるからですわ。
この6つは能力ではなく優先順位の問題。だからこそ、意識してひとつ守る価値がありますのよ。
✅ 今週、実際に試す
6つ全部やろうとしなくて大丈夫です。ひとつ試したらチェックを。30原則トップの進捗に反映されます。
👑 アテナ様より 👑
「PART 1で土台をつくり、PART 2で信頼を積みました。
ここまで来て、ようやく次の章が効くようになりますわ。説得は、信頼されてからでないと届きません——順番が逆だと、どれだけ正しい提案でも「単なる売り込み」として処理されてしまうのですのよ。😌」
💬 PART 3「人を説得する十二原則」へ進む
最大の章。論破ではなく合意をつくる12の技術