アルツハイマー型認知症を知る
介護士として知っておきたい基礎知識とかかわり方
介護士として知っておきたい基礎知識とかかわり方
認知症全体の約67%を占める、最も患者数の多いタイプです。
脳の神経細胞が少しずつ壊れていく病気で、「病名」ではなく認知症を引き起こす「原因疾患」のひとつです。
認知症になった人の10人中7人がこのタイプ。ダントツで一番多い。
よく「アルツハイマー=認知症」と思われがちだけど、正確には認知症を引き起こす「原因のひとつ」。認知症は「状態」、アルツハイマーは「その原因になる脳の病気」です。
脳の神経細胞が徐々に減っていくことで、認知機能が低下していきます。
40〜64歳でも介護保険が使える16の病気のひとつ。若年性アルツハイマーも対象です。
ケガとか感染じゃなくて、脳の神経細胞が「理由なく勝手に死んでいく」タイプの病気。だからゆっくり進行する。
介護保険の「特定疾病」に入ってるから、40〜64歳でも介護サービスが使える。若くして発症する「若年性」もある。
異常なタンパク質が脳にたまり、老人斑(ろうじんはん)を形成。神経細胞の働きを妨げます。
タウタンパク質が異常な形に変化し、神経原線維変化(しんけいげんせんいへんか)を起こして神経を壊します。
「アミロイドβ(ベータ)」という異常なタンパク質が脳にべったりくっつく。これが老人斑(ろうじんはん)。排水溝にゴミがたまって水が流れなくなるイメージ。
「タウタンパク質」が変な形にねじれて、神経の配線を壊していく。これが神経原線維変化(しんけいげんせんいへんか)。電線がショートするようなもの。
海馬は記憶をつかさどる場所。ここが最初にやられるから、「最近のことを忘れる」が最初の症状になるのです。
海馬は脳の中の「記憶の保管庫」。ここが真っ先に壊れるから、「さっきのことを忘れる」が一番最初に出る症状なんです。昔のことは別の場所に保存されてるから残りやすい。
💡 わかりやすく言うと:脳にゴミがたまって、回路がショートしていくイメージです。
一度壊れた回路は、残念ながら元には戻りません。
💡 まとめると:①ゴミがたまる → ②配線が壊れる → ③記憶の保管庫がやられる。
この順番で脳が壊れていくから、「最近のこと忘れる」→「場所がわからない」→「人の顔がわからない」の順で進む。
最近の出来事を忘れる(昔のことは覚えている)。
さっき食べたご飯の内容を忘れる。同じ話を何度も繰り返す。
30分前にご飯を食べたのに「まだ食べてない」。5分前に聞いた話をもう一度聞く。
でも子どもの頃の思い出や昔の仕事の話はスラスラ出る。新しい記憶から消えていくのが特徴。
今日が何日か、ここがどこか、目の前の人が誰かわからなくなる。
進行の順番:時間 → 場所 → 人
「今日は何月何日?」「ここはどこ?」「あなた誰?」がわからなくなっていく。
壊れる順番は決まっていて:①時間(曜日・季節)→ ②場所(自分の家がわからない)→ ③人(家族の顔がわからない)。この順番は試験でも出る!
料理の手順がわからなくなる。計画が立てられない。段取りができない。
言葉が出ない(失語)、物が何かわからない(失認)、服の着方がわからない(失行)。
カレーを作るとき「野菜を切る→炒める→煮る→ルーを入れる」の順番がわからなくなる。ひとつひとつの動作はできるのに、組み合わせができない。
言葉が出ない(失語)、目の前の物が何かわからない(失認)、服の着方がわからなくなる(失行)。「あれ、あれよ」が口癖になる。
物忘れ・同じ話の繰り返し・意欲低下。取り繕いが上手で周囲が気づきにくい。
見当識障害が目立つ。徘徊・物取られ妄想が出現。介護量が増える時期。
会話困難・嚥下障害(えんげしょうがい)・寝たきり。全介助が必要に。
📌 ゆっくりだが確実に進行する——「坂道を下りていく」イメージ。
脳血管性認知症のような「階段状」の悪化ではなく、なだらかに低下していきます。
自分で財布をしまったことを忘れちゃう → 見つからない → 「誰かが盗んだに違いない!」
しかも一番お世話してくれている人が犯人にされやすい。理不尽だけど、本人は本気で信じている。
忘れたことを笑顔でごまかす。「あぁ、それはもちろん」
初期に多く見られ、周囲が認知症に気づきにくい原因に。
「昨日何食べた?」→ 「あぁ、いつものやつよ」と笑顔で切り抜ける。忘れたことを認めたくない気持ちと、長年の社交スキルで乗り切る。だから初期は周りが気づけない。
夕方になるとそわそわ。「家に帰らなきゃ」と不安になる。
「今日は何曜日?」を5分おきに聞く。聞いたこと自体を忘れる。
男女比は約1:2。女性ホルモンの減少が一因とされる。
原因:アミロイドβの蓄積
進行:ゆっくり坂道を下る
認知機能:全体的に低下
感情:穏やか → 後期に不安
性差:女性に多い
予防:難しい
原因:脳卒中(脳梗塞・出血)
進行:階段状に急に悪化
認知機能:まだら(できる/できないの差が激しい)
感情:感情失禁(急に泣く・怒る)
性差:男性に多い
予防:高血圧管理で予防可能
📌 試験でも頻出の比較ポイント。「坂道 vs 階段」「全体 vs まだら」「女性 vs 男性」で覚えると確実。
「そんなはずないでしょ」は絶対NG。本人の世界では本当のこと。否定は混乱と不安を強める。
ゆっくり、短い文で、目を見て話す。「急いで」は混乱のもと。待つことがケア。
全介助は残存能力を奪う。「見守り+さりげない補助」が鉄則。
💡 覚えておきたいキーワード:「否定しない・急がせない・奪わない」
対応:「おいしかったですよね。次のご飯も楽しみですね」
→ 「さっき食べたでしょ」は禁句。話題をずらして安心させる。
対応:「今日はここに泊まりませんか?明るくなったら一緒に行きましょう」
→ 無理に引き止めず、安心できる提案をする。
対応:「大変!一緒に探しましょう」
→ 否定も肯定もせず、共感 → 提案の流れ。
❌ 「さっき食べたでしょ!」→ 本人は本当に覚えてないから混乱するだけ
✅ 「おいしかったですよね。次のご飯も楽しみですね」
コツ:事実を正そうとしない。話題をスッとずらして安心させる。
❌ 「ここがあなたの家ですよ!」→ 否定されると余計に不安になる
✅ 「今日はここに泊まりませんか?明るくなったら一緒に行きましょう」
コツ:「帰りたい気持ち」を受け止めつつ、安心できる未来を提案。
❌ 「盗んでません!」→ 犯人扱いされてムカッとしても、否定は逆効果
✅ 「大変!一緒に探しましょう」
コツ:否定も肯定もしない。「共感して→一緒に行動する」。これが鉄板パターン。
急な環境変化はリロケーションダメージを引き起こします。
入所・入院時は、なじみの物を持ち込んでもらうことが大切。
カレンダー・時計を見やすい場所に。日付・曜日がわかる環境をつくる。
トイレの場所に大きな目印をつける。夜間は足元灯で誘導する。
危険なもの(火・刃物)を手の届かない場所に。施錠の工夫も重要。
夕方の暗さが不安を誘う(夕暮れ症候群)。明るさを保つことで落ち着きやすい。
アルツハイマーを知ることは、その人を知ること
アルツハイマーは「忘れる病気」ではなく、「脳が壊れていく病気」です。
でも感情は最後まで残ります。
やさしくされた「うれしい気持ち」は消えません。
介護士にできることは「治す」ことじゃない。
「安心してもらうこと」です。
アルツハイマーは「物忘れの病気」じゃない。脳の細胞が壊れていく病気です。
名前を忘れても、顔がわからなくなっても、
「やさしくしてもらってうれしい」という気持ちは最後まで残る。
私たち介護士にできるのは「治す」ことじゃない。
でも、「この人は安心できる」と思ってもらうことはできる。
それが介護のプロの仕事です。
病気のメカニズムと進行を知る
次に何が起きるかを先回りする
否定せず、その人の世界を尊重する
女神アテナ