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身体拘束廃止・防止に向けて

第2章 — 基本方針と3つの原則、5つの基本的ケア、認知症ケアの基本

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全10ページ
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女神アテナ
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なすべき4つの方針(前半)

身体拘束を廃止・防止することは容易ではありません。看護職員・介護職員だけでなく、組織全体、そして本人やその家族等も含め全員が強い意志をもって取り組むことが大事です。

1️⃣

組織一丸となった取組

法人理事長や施設長等の責任者が「身体拘束廃止・防止」を決意し、職員をバックアップする方針を徹底。職員は安心して取り組める。

2️⃣

必要としないケアの実現

心身の状態を正確にアセスメントし、拘束しないケアを追求。認知症のBPSDにも必ず原因があり、その原因を探り取り除く。

なすべき4つの方針(後半)

3️⃣

共通意識の醸成

トップも含めた組織全体、本人・家族、関係者で十分に議論し、課題意識を共有してチームケアを実現。最も大事なのは「本人中心」という考え方。

4️⃣

常に代替方法を考える

「仕方がない」「どうしようもない」と拘束していないか? 漫然と拘束している場合は直ちに解除を試みる。例外規定は極めて限定的に。

💡 実践事例

開設当初から理念浸透を徹底した結果、そもそも身体拘束をするという発想が職員内で生まれない風土が醸成されている事業所もあります。スピーチロックも身体拘束として取り組んでいます。

身体拘束を必要としないための3原則

身体拘束を行わざるを得なくなる要因を特定し、その要因を改善すること。こうした取組によって、ケアの質の向上や生活環境の改善が図られていきます。

🔍

原則①

要因を探り改善する

🤲

原則②

5つの基本的ケアを徹底

原則③

より良いケアの実現へ

要因を探り、改善する

🔍 「必要」とされる状況には理由がある

以下の状況を防止するために「必要」と言われることがありますが、それらには必ずその人なりの理由があります。

一人歩き

興奮状態での周囲への迷惑行為

危険な行動

不安定な歩行、チューブ類の抜去

自傷行為

かきむしり、体をたたき続ける

姿勢の問題

姿勢が崩れ、体位保持が困難

⚡ 職員のかかわり方や環境に課題があることも少なくない。その人なりの要因を徹底的に探り、除去・改善する工夫が必要です。

5つの基本的なケア

ケアの基本は本人の意思の尊重

認知症の症状にかかわらず、意思決定能力を有することを前提に。身振り手振りや表情の変化も意思表示として読み取る。

🌅

❶ 起きる

座ることで覚醒し、目が開き、耳が聞こえ、周囲がわかるようになる

🍚

❷ 食べる

楽しみや生きがい。脱水予防、抵抗力の維持向上にもなる

🚻

❸ 排せつする

なるべくトイレで。不快が「オムツいじり」等の行為につながる

🛁

❹ 清潔にする

不潔はかゆみの原因。清潔にすれば本人も快適、人間関係も良好に

🎵

❺ 活動する

音楽、工芸、園芸、体操等。その人らしさを追求する心地よい刺激

「より良いケア」の実現を

廃止・防止を最終ゴールとしない

身体拘束の廃止・防止を実現していく取組は、ケアの質の向上や生活環境の改善のきっかけとなりうる。「身体拘束廃止・防止」を最終ゴールとせず、その過程で提起されたさまざまな課題を真摯に受け止め、よりよいケアの実現に取り組んでいく。

意思決定支援とともにこれらのケアを実行することで、点滴をしなければならない状況や、転倒しやすい状況をつくらないようにすることが重要です。

認知症ケアの考え方と実践

🧡 パーソン・センタード・ケア

イギリスの心理学者トム・キットウッドにより提唱された、その人を中心にしたケア。本人のこれまで生きてきた歴史や人間性、今の生活に重点をおいてケアを考える。「認知症の人は意味不明な行動をする」とは考えず、主役はあくまで本人

📜 認知症基本法と"新しい認知症観"

認知症になってからも一人一人が個人としてできること・やりたいことがあり、住み慣れた地域で希望をもって自分らしく暮らし続けることができるという新しい認知症観に立つ。

認知症の症状と影響要因

🧠

脳の病的変化

さまざまな原因疾患による変化

認知機能障害(中核症状)

記憶、注意、実行機能、判断力等の障害

🏠

生活障害

食事・排泄・入浴(基本的ADL)、買物・服薬管理等(手段的ADL)

⚠️ BPSD(行動・心理症状)

心理的要因、環境要因・ケア・人間関係、身体的要因が影響し、不安、抑うつ、幻覚、妄想、焦燥、攻撃性などが発生。BPSDを強い言葉や行動制限で抑え込むのは逆効果。原因を探り、不安や混乱の解消をめざす。

📚 全国の都道府県・政令市で認知症ケアに関するステップアップ型の研修が提供されています — 認知症介護基礎研修、実践者研修、実践リーダー研修、指導者養成研修。

第2章 まとめ

4つの方針

組織一丸の取組、必要としないケア、共通意識の醸成、常に代替方法を考えること

3つの原則

要因の探求と改善、5つの基本的ケアの徹底、より良いケアの実現

5つの基本的ケア

起きる、食べる、排せつする、清潔にする、活動する — 本人の意思を尊重

認知症ケア

パーソン・センタード・ケアの実践。BPSDの原因を探り、行動制限ではなく不安解消を

女神アテナ

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