緊急やむを得ない場合の対応
第3章 — 三つの要件と手続き、記録すべき内容を学ぶ
第3章 — 三つの要件と手続き、記録すべき内容を学ぶ
「当該入所者又は他の入所者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合」の適正な手続きを経た身体的拘束等は認められています。この手続きはあくまでも「本人の尊厳を守るため」に行うものです。
生命または身体が危険にさらされる可能性が著しく高い
行動制限を行う以外に代替する方法がない
行動制限が一時的なものである
⚠️ ケアの工夫のみでは十分に対処できないような「一時的に発生する緊急事態」のみに限定される
身体拘束を行うことにより本人の日常生活等に与える悪影響を勘案し、それでもなお身体拘束を行うことが必要となる程度まで、本人等の生命または身体が危険にさらされる可能性が高いことを確認する。
✔ 身体拘束をしない場合、どのような危険にさらされるのか
✔ それはどのような情報から確認できるのか
✔ 他の関係機関や医療職はどのような見解を持っているのか
いかなるときでも、まずは身体拘束を行わずに介護するすべての方法の可能性を検討し、他に代替手法が存在しないことを組織で確認する。
点滴を自分で抜く方 → 視界に入らないよう位置を工夫、ガーゼの種類を変更
BPSDがある場合 → 原因を探り、拘束を行わずに介護する方法を検討
✔ すべての方法の可能性を洗い出せているか
✔ 複数の職員や多職種での検討を行ったか
✔ 代替方法を実際行ってみた結果を十分に検討できているか
✔ 外部有識者・外部機関に相談できないか
本人の状態像等に応じて必要とされる最も短い拘束時間を想定する必要がある。環境が整った時間帯においては該当しない可能性がある。
✔ 最も短い拘束時間を想定したか — 何月何日の何時から何時までか
✔ 本人・家族、関係者・関係機関で検討したか
三つの要件の確認は、本人の尊厳を守るためのプロセス。本人・家族、関係者・関係機関全員で検討、確認し、記録しておくことが求められる。
担当職員個人ではなく、事業所全体としての判断。解除についても組織として取り決め。
要件を満たすケースは極めて少ない。客観的な状況が存在する場合のみ。
内容、目的、理由、時間、期間等をできる限り詳細に説明し、十分な理解を得る。
常に観察・再検討し、要件に該当しなくなった場合は直ちに解除。
⚠️ 夜勤帯の「人手不足」を理由に挙げる事案がありますが、同じ職員数でも身体拘束を行っていない施設と行っている施設があります。俯瞰的視点で見直し、組織全体で取り組むことが必要です。
✔ 三つの要件を満たすケースは極めて少ないことを組織全体で認識共有
✔ 職員の気持ちや安全面にも配慮
✔ 代替方法をいくつか試し、結果を十分に検討した記録がある
✔ 要件非該当時の即時解除を組織全体で共有
✔ 関係者・関係機関で認識共有
✔ 家族の気持ちや安全面にも配慮
✔ 専門的知識を持たない家族への配慮
✔ リアルタイム把握が難しい場合でも頻回に観察
緊急やむを得ず身体拘束を行う場合には、態様・時間、本人の心身の状況、緊急やむを得なかった理由を記録しなければなりません。
まずアセスメントを行った内容を記録する
心身の状態等の観察、拘束の必要性を逐次追記
職員間、施設全体、家族等関係者と直近の情報を共有
行政の運営指導や監査の際に提示できるよう保存
⚠️ 家族への説明の確認は「同意」ではない。家族の同意は、身体拘束を認める根拠にはならない。
個人の法益を侵害した場合、その行為は高齢者の尊厳を損なうとともに、民事上の責任や刑事上の処罰の対象になる場合もあります。
身体拘束は本来、高齢者の身体の自由や意思の自由などの権利を侵害するもの。その侵害よりも、生命や身体の安全確保という法益が上回る場合に例外的に許容される。切迫性、非代替性、一時性の三つの要件は、このような侵害される法益と手段との関係性を考慮したものです。
出典:日本弁護士連合会高齢者・障害者権利支援センター 委員 滝沢 香
切迫性・非代替性・一時性のすべてを満たす場合のみ。極めて限定的に考える。
組織全体での検討、本人・家族への説明、常に再検討と解除を。
アセスメント、日々の観察、情報共有、説明書の保存を徹底する。
身体の自由の侵害より生命の安全が上回る場合に例外的に許容される。
女神アテナ