脳血管疾患を知る
脳梗塞・脳出血——介護士としての関わり方
脳梗塞・脳出血——介護士としての関わり方
脳の血管に異常が起こり、脳細胞に酸素や栄養が届かなくなる病気の総称。「脳卒中(のうそっちゅう)」とも呼ばれます。
大きく分けて「詰まる(脳梗塞)」と「破れる(脳出血・くも膜下出血)」の2タイプ。
脳の血管に何かが起きて、脳の細胞が酸欠で死んじゃう病気の総称。「脳卒中(のうそっちゅう)」って言い方の方が聞き慣れてるかも。
シンプルに分けると「血管が詰まる(脳梗塞)」か「血管が破れる(脳出血・くも膜下出血)」の2パターン。水道管が詰まるか破裂するか、みたいなイメージ。
日本人の死因では長年上位。要介護になる原因の第2位(認知症に次ぐ)。
40〜64歳でも介護保険が使える16の病気のひとつ。働き盛りで発症するケースも多い。
日本人の死因トップクラス。そして要介護になる原因の2位。後遺症で介護が必要になる人がめちゃくちゃ多い。
「特定疾病」だから、40〜64歳でも介護サービスOK。働き盛りで突然倒れて、若くして介護が必要になるパターンが多い。
血管が詰まるタイプ。脳血管疾患の約75%を占める。
・アテローム血栓性:動脈硬化で血管が狭くなり詰まる
・心原性脳塞栓症:心臓(特に心房細動)でできた血栓が脳に飛ぶ
・ラクナ梗塞:細い血管が詰まる小さな梗塞
血管が破れるタイプ。
・脳出血:高血圧などで脳の中の血管が破れる
・くも膜下出血:脳の表面の動脈瘤(こぶ)が破裂。突然の激しい頭痛が特徴
脳血管疾患の約4人に3人がコレ。血管が詰まって脳の細胞が酸欠で死ぬ。
・アテローム血栓性:年齢で血管がガチガチになって詰まる(動脈硬化)
・心原性脳塞栓症:心臓で出来た血のカタマリが脳まで飛んでくる。不整脈(心房細動)の人は要注意
・ラクナ梗塞:細い血管がちょこっと詰まる軽めのタイプ
血管がブチッと破れて、漏れた血が脳を圧迫する。
・脳出血:血圧高い人が起こしやすい。脳の中で出血
・くも膜下出血:脳の表面の動脈にできたコブ(動脈瘤)が破裂。「バットで殴られたような頭痛」って表現されるくらい激痛
💡 ポイント:脳梗塞=高齢者・動脈硬化、脳出血=高血圧、くも膜下出血=動脈瘤。原因が違うので予防方法も違います。
💡 ざっくり覚え方:脳梗塞は「血管がボロボロ」、脳出血は「血圧高い」、くも膜下出血は「コブが破裂」。原因が違うから予防も違う。
脳血管疾患は突然発症します。発症から治療開始までの時間が、その後の後遺症を大きく左右します。
脳梗塞は発症4.5時間以内ならt-PA(血栓を溶かす薬)が使えます。「いつもと違う」と思ったらすぐ救急要請!
前触れなく突然発症するのが特徴。「さっきまで元気だったのに」が普通に起きる。
大事なのはとにかく早く病院。脳梗塞なら4.5時間以内に病院に着けば「血栓を溶かす薬(t-PA)」が使えて、後遺症を減らせる可能性がある。1分1秒が後の人生を決めると思って動こう。
顔の片側がゆがむ。「いー」と笑ってもらうと、片方の口角が上がらない。
両手を前に挙げてもらうと、片方の腕が下がってくる。
ろれつが回らない。簡単な言葉が出てこない。話の意味が通じない。
1つでも当てはまったらすぐ救急要請。発症時刻をメモする。
「イーって笑ってみて」と言って、口の片側だけ上がらなかったらアウト。鏡で見せるとわかりやすい。
「両手を前に挙げて10秒キープ」させてみて、片方がストンと落ちてきたらアウト。
ろれつが回らない、言葉が出てこない、何言ってるか通じない。「今日は何曜日?」って聞いて答えられないとか。
1つでも怪しかったらすぐ救急車。「いつから症状が出たか」の時刻が治療判断に超重要だからメモして!
体の左右どちらか半身が動かなくなる。脳の損傷部位と反対側に出現(右脳の損傷→左半身麻痺)。
軽度では「重い・しびれる」、重度では「全く動かない」まで段階があります。
体の左右どっちかの半分が動かない状態。ポイントは脳の損傷した側と反対側に麻痺が出ること(右脳がやられたら左半身が動かない)。
「手がしびれる程度」から「全く動かない」までグラデーションがある。利き手側に麻痺が出ると食事も書字も大変。
運動性失語=言いたいことが言葉にならない。感覚性失語=相手の言葉が理解できない。
飲み込みがうまくできなくなる。誤嚥性肺炎の最大原因。食事介助に細心の注意が必要。
麻痺側の空間を「認識できない」。食事の片側を残す、ぶつかるなど。本人は気づいていない。
急に泣く・笑う・怒る。感情のブレーキが効きにくくなる状態。本人もコントロールできない。
運動性=頭ではわかってるのに口から出ない(話せない)。感覚性=相手が何言ってるか理解できない。タイプによって対応が真逆になる。
飲み込みがうまくできなくなる。これが原因で食べ物が肺に入って誤嚥性肺炎を起こす。介護施設の死因トップ。食事介助は本当に慎重に。
麻痺側の世界が「存在しない」かのようになる。お皿の片側だけ食べ残す、壁にぶつかる、ヒゲを片側だけ剃る。本人は「見えてない」ことにすら気づかないのがやっかい。
ちょっとしたことで急に泣く・笑う・怒る。感情のブレーキが利かない状態。本人も「なんで泣いてるんだろ」って思ってる。性格が変わったわけじゃない。
救急病院で命を救う段階。早期離床・早期リハが後遺症を減らす鍵。寝かせきりにしない。
回復期リハビリ病院で集中リハ。機能回復のゴールデンタイム。退院後の生活設計もこの時期に。
自宅・施設での生活。介護士が一番関わる時期。残った機能を維持し、生活を組み立てる。
📌 進行は「階段状」。再発するたびに段階的に悪化するのが特徴(坂道状のアルツハイマーとの違い)。再発予防が最重要。
📌 進行は「階段カクッ」のイメージ。再発するたびにガクッと悪化する。アルツハイマーがゆっくり下る坂道なら、こっちは段差を落ちる感じ。だから「再発させない」が一番大事。
原因:脳卒中(梗塞・出血)
進行:階段状に急に悪化
認知機能:まだら(できる/できないの差)
感情:感情失禁(急に泣く・怒る)
身体症状:片麻痺・嚥下障害あり
性差:男性に多い
予防:高血圧管理で予防可能
原因:アミロイドβの蓄積
進行:ゆっくり坂道を下る
認知機能:全体的に低下
感情:穏やか → 後期に不安
身体症状:初期は身体症状少ない
性差:女性に多い
予防:難しい
📌 試験頻出の比較ポイント。「階段 vs 坂道」「まだら vs 全体」「男性 vs 女性」「予防可 vs 予防困難」で覚える。
血圧・服薬・水分管理を徹底。「いつもと違う」を見逃さない。再発が一番怖い。
麻痺側を「使わない」ではなく「使える方を活かす」。過介助は機能を奪う。
食事姿勢・とろみ・口腔ケアを徹底。誤嚥性肺炎は命に関わる。
💡 覚えておきたいキーワード:「再発させない・奪わない・誤嚥させない」
💡 介護士の3大任務:「再発させない・残った力を奪わない・誤嚥させない」。この3つを守れば仕事の8割はOK。
原則:麻痺側を保護し、健側(動く側)から介助する。
・着替えは「脱健着患(だっけんちゃっかん)」=脱ぐときは健側から、着るときは患側から
・移乗は健側に車椅子を置く
覚え方:「動く方を活かして、動かない方を守る」
✅ 着替え=「脱健着患(だっけんちゃっかん)」(脱ぐ時は元気な方から、着る時は麻痺してる方から)。これ国試にも出るやつ!
✅ 車椅子に移る時は動く方の側に車椅子を置く。動く方の手で支えられるから。
体位:30〜60度のギャッジアップ、軽くあご引き
食形態:とろみ付き・刻み・ペースト等、本人に合わせる
食後:30分以上は座位を保ち、口腔ケアを徹底
❌ 寝たままで食べさせる、急がせる、満腹なのに口に運ぶ → 全部誤嚥のもと
✅ 背中を起こす(30〜60度)+あごを軽く引く姿勢が基本
✅ 食後すぐに横にしない。30分以上は座位キープ。横にすると逆流して肺に入る
✅ 口腔ケアは命を守る仕事。口の中の細菌が肺に入ると肺炎になる
運動性失語:本人は理解できる。短い質問・YES/NO質問・絵カードを活用。
感覚性失語:言葉での説明は通じない。ジェスチャー・実物を見せて伝える。
運動性失語(話せないけど理解できる):「はい/いいえ」で答えられる質問にする。「お茶飲みますか?」「はい」って手を握ってもらう、とか。
感覚性失語(話せるけど理解できない):言葉では伝わらないから身振り手振り+実物を見せる。「お茶」って言いながらコップを見せる。
「泣かないで」と止めない。感情の波を受け止める。落ち着いたら自然に治まる。
❌ 「泣かないで」「元気出して」→ 本人もコントロールできないから逆にしんどい
✅ そっと寄り添う、背中をさする、待つ。波が引くのを一緒に待つだけでいい。
片麻痺の方が動きやすいよう、健側に手すりを配置。段差解消・滑り止めを徹底。
転倒は再発と並ぶ最大のリスクです。
血圧・脈拍を毎日測定。不整脈(心房細動)は再発リスク。変動があれば看護師へ即報告。
抗血栓薬(バイアスピリン等)は飲み忘れ厳禁。出血傾向にも注意(あざ・血尿)。
脱水は血液をドロドロにし梗塞を誘発。特に夏・夜間・発熱時の水分管理が命を守る。
口の中の細菌が誤嚥性肺炎の原因に。毎食後と就寝前のケアを徹底する。
脳血管疾患は「予防できる」病気
脳血管疾患は、発症してからでは取り戻せない後遺症を残す病気です。
でも、アルツハイマーと違って「予防できる」病気でもあります。
血圧・水分・服薬——日々のケアが、次の発作を防ぎます。
そして発症してしまった方には、
「残った力を最大限に使って暮らす」ことを支えるのが介護士の仕事です。
脳血管疾患は「一発で人生が変わる」怖い病気。
でも同時に、「再発は防げる」病気でもある。
毎日の血圧チェック、水分、薬、口腔ケア——
地味な仕事の積み重ねが「2回目の発作」を防ぐ。
そして、麻痺が残ったその人にとって、
「動く方の手で、自分の人生を続けられる」ように支えること。
それが介護のプロの仕事です。
血圧・水分・服薬で再発を防ぐ
「いつもと違う」を見逃さない
残った力を奪わず、活かす
女神アテナ