生理的老化と病的老化、恒常性(ホメオスタシス)の維持。そして加齢で低下する「防衛力・予備力・適応力・回復力」の4つの力を国試の形に整理。
歳をとると、体の「ゆとり」と「もとに戻す力」が減ります。だから少しの無理が大きく響く。その仕組みを見るページです。
人の身体は、成長の過程で機能を最大限に高め、その後ゆっくりと衰えていきます。これが生理的老化です。けれど身体には、体温や水分のバランスを一定に保つ力——恒常性(ホメオスタシス)が備わっています。加齢でこの力が弱ると、熱中症や脱水を起こしやすくなる。支えているのは防衛力・予備力・適応力・回復力の4つ。この4つがどう衰えるかを知れば、高齢者の「ちょっとした無理」がなぜ大ごとになるのか、見えてきますわ。
若い頃は徹夜しても寝れば戻った。歳をとると、それが戻らない。これは「だらしない」んじゃなくて、体の予備力(ゆとり)と回復力(立て直す力)が物理的に減ったから。入院や引っ越しでガクッと弱るのも、新しい環境に合わせる適応力が落ちているからです。介護では「前は平気だったのに」を責めず、余力が減った前提でペースを落とす。これが事故を防ぐ第一歩です。
ストレスのもとを避けたり、たたかって身体を守る力。免疫機能の低下で病原体への抵抗力が落ちる。
もてる最大の能力と、日常で使う能力の差=ゆとり。加齢で減り、無理がきかなくなる。
ストレスに順応する力。低下すると入院・引っ越しなどの環境変化で不安・心理的ストレスが高まる。
ダメージを修復してもとに戻す力。低下する。本人の意欲・意思が大きく影響する。
4つとも加齢で低下 → 恒常性(体温・水分・電解質のバランス)が保ちにくくなり、熱中症・脱水を起こしやすくなる。
人は生まれてから時間とともに成長し、老化を経て死に至ります。生理的な機能は成長の過程で最大限に発揮された後、しだいに衰えます。この過程を生理的老化といいます。衰え方は同じ年齢でも個人差があり、同じ人でも機能によって異なります。よく引用される「加齢に伴う生体機能の低下」のデータでは、肺活量や腎臓の血流量はかなり急速に低下し、80歳では30歳の半分前後になります。骨格筋力も低下が速く、使わないことで加齢性萎縮(廃用)が起こります。生理的老化が著しく進行し、病的な状態になったものを病的老化といいます。
老化は「全身が同じ速さで均一に衰える」わけじゃない。機能ごとにバラバラだし、人によっても違う。だから年齢だけで「もう無理」と決めつけない。一方で、肺活量や腎臓の血流みたいにけっこう急に落ちるものもある。そして使わない筋肉は縮む(廃用)。寝かせきりが一番こわい、という話の根っこがここです。
人の身体には、体内の生理的機能と外部環境のバランスを調整する能力があります。例えば体温を一定に保つ・電解質のバランスを維持する能力で、これを恒常性の維持(ホメオスタシス)といいます。生理的老化は徐々に進むため全体的な恒常性は維持されていますが、加齢とともに恒常性を保つ機能が低下すると、さまざまな影響が生じます。例えば熱中症や脱水症を起こしやすくなります。恒常性の維持には、防衛力・予備力・適応力・回復力が関係します。
ホメオスタシス=「体を“いつも通り”に戻す自動調整」。エアコンの自動運転みたいなもの。暑ければ汗で冷やし、寒ければ血管を締めて温める。歳をとるとこの自動運転がにぶる。だから暑さ・脱水に気づきにくく、熱中症になりやすい。「本人が暑いと言わない=大丈夫」ではない、というのが現場の鉄則です。
| 力 | はたらき | 加齢でどうなる |
|---|---|---|
| 防衛力 | ストレス要因を避けたり、たたかうことで身体の恒常性を保つ。 | 免疫機能が低下し、細菌・ウイルスなど病原体への抵抗力が低下する。 |
| 予備力 | 備わっている最大の能力と、日常で使っている能力の差(ゆとり)。 | 予備力が低下し、無理がきかなくなる。少しの負荷で限界に達しやすい。 |
| 適応力 | ストレス要因が身体に負担にならないよう順応していく力。 | 低下する。入院・引っ越しなど生活環境の変化で不安感・心理的ストレスが高まる。 |
| 回復力 | ストレスを受けたとき、修復してもとに戻そうとする力。 | 低下する。回復力は本人の意欲や意思が大きく影響する。 |
体温・水分・電解質などを一定の状態に保とうとする身体の調整機能のこと。外部環境が変化しても体内を安定させる。加齢でこの機能が低下すると、熱中症・脱水など体調をくずしやすくなる。支えるのは防衛力・予備力・適応力・回復力の4つ。
Q1. 生理的老化に関する記述として、最も適切なのはどれ?
Q2. 恒常性(ホメオスタシス)に関する記述で、適切なものはどれ?
Q3. 恒常性を支える「4つの力」の説明で、適切なものはどれ?