高齢者の身体的特徴(9つのポイント)から、皮膚・毛・爪の変化、視覚・聴覚、そして咀嚼・嚥下・消化の変化までを国試の形に整理。
肌・髪・爪・目・耳・「食べて飲み込む力」——加齢で起きる変化を、現場で気づける形でまとめます。
高齢者の身体は、若い人とは症状の出方そのものが違います。心筋梗塞でも強い胸痛が出ず「何となく元気がない」だけのことも。はっきりしない・非定型な症状こそ高齢者の特徴です。そして外見では皮膚・毛・爪が、感覚では視覚・聴覚が、食べる力では咀嚼・嚥下・消化が変わっていく。一つひとつは小さくても、誤嚥性肺炎や転倒といった命に関わる出来事につながります。変化の入口を知ることが、予防の第一歩ですわ。
高齢者は「教科書どおりの症状」が出ない。だから「元気がないだけ」を侮ると重大なサインを見落とす。爪が変形→歩きがふらつく→転倒。飲み込む反射が鈍る→むせる→誤嚥性肺炎。見た目の小さな変化が、事故の前ぶれです。「しわ・しみ」も本人には大きな心の負担になる。体の話と心の話は地続きだ、と覚えておいてください。
身体的な個人差が大きい。
恒常性維持機能の低下で代謝異常を起こしやすい。
いくつもの病気・症状を同時にもつ。
慢性化しやすい。
生体防御機能の低下で抵抗力も落ちる。
症状がはっきりせず、特定が困難。
合併症を起こしやすい。
視力・聴力など感覚器の障害が出る。
薬の副作用が生じやすい。
例:心筋梗塞でも強烈な胸痛が出ず、「何となく元気がない・胃が重い・左肩こり」だけのことがある(非定型症状)。安静が長引くと関節拘縮・褥瘡も。
皮膚:水分量の減少、皮脂分泌量・発汗量の減少、真皮コラーゲンの減少、メラニン細胞の減少などにより、しわ・しみ・たるみが生じ乾燥肌(ドライスキン)になります。熱いお湯につかったり洗いすぎても乾燥します。コラーゲン減少で皮膚が傷つきやすく、傷口から細菌が侵入して炎症を起こすことも。顔や手のしみ・しわは本人の心理面に大きく影響することがあり、配慮が大切です。
高齢者の肌はカサカサで傷つきやすい。だからゴシゴシ洗う・熱い湯は逆効果。乾燥はかゆみ(老人性皮膚掻痒症)の原因にもなる。そして「しみ・しわ」は本人にとっては小さくない悩み。身だしなみへの配慮=尊厳のケアです。
視覚:人は情報の約8割を視覚から得ています。視力は40歳頃から低下し、近くが見えにくくなります(老視)。水晶体の弾力性と毛様体の筋力が低下し、ピント調節が難しくなるためで、老眼鏡で解消します。明暗順応も低下。水晶体の変性で物が黄ばんで見え、青・紫など青系の識別力が低下します。
聴覚:加齢による聴力低下には個人差があります。高齢者では高音域が聞こえにくくなり、音のゆがみも生じてはっきり聞き取りにくくなります(感音性難聴)。一方、外耳・中耳など音を伝える部分の問題で起こる伝音性難聴は、補聴器を使うと聞き取りやすくなります。
目は「近くが見えにくい・青系が見分けにくい・暗いと順応が遅い」。だから段差や青っぽい表示は危険。耳は「高い音から聞こえにくい」。だから甲高い早口より低めの声でゆっくり。感音性難聴は補聴器でも限界があるが、伝音性難聴は補聴器が効く——ここは国試で問われます。
歯がもろくなり、歯肉の後退・歯周病、顎や頬の筋力低下でかみ砕けなくなる。咀嚼回数が減り、唾液の分泌も減少。
喉頭が挙上し喉頭蓋が下降して気管にフタをする反射がうまく働かず誤嚥しやすい。むせる咳嗽反射も低下 →誤嚥性肺炎を起こしやすい。
唾液・胃液の分泌減少、蠕動運動の遅延、小腸の吸収力低下で消化吸収に時間がかかる。空腹感を感じにくく食欲低下の原因に。
「むせる」は危険信号。飲み込む反射と、むせて押し返す反射、両方が弱るから誤嚥性肺炎になる。だからとろみ・姿勢・一口量が命を守る。さらに消化が遅く空腹を感じにくいので「食べたがらない=わがまま」ではなく体の仕組み。少量高栄養や声かけの工夫が要ります。
感音性難聴:内耳や神経の問題で起こり、高音域が聞こえにくく音がゆがむ。加齢性難聴の中心で、補聴器でも改善に限界がある。伝音性難聴:外耳・中耳など音を伝える部分の問題で起こり、補聴器の使用で聞き取りやすくなる。
Q1. 高齢者の身体的特徴として、最も適切なのはどれ?
Q2. 加齢に伴う感覚機能の変化で、適切なものはどれ?
Q3. 加齢に伴う咀嚼・嚥下・消化の変化で、適切なものはどれ?