血管と血圧、呼吸とガス交換、筋肉・骨・関節、腎臓・膀胱・尿道、免疫、体温調節。全身の「内側」で起きる加齢の変化を国試の形に整理。
体の内側で何が落ちていくのか。起立性低血圧・骨折・頻尿・熱中症——現場で出会う出来事の「なぜ」をまとめます。
外見の次は、身体の内側です。血管は硬くもろくなって血圧が上がり、立ち上がると起立性低血圧でふらつく。肺は酸素を取り込みにくくなり、骨は骨吸収が骨形成を上回ってもろくなる。腎臓・膀胱の力が落ちて頻尿・夜間頻尿に。免疫も体温調節も弱り、熱中症を招きます。一つひとつは別々に見えて、すべて「恒常性が保ちにくくなる」という同じ物語の章。だからこまめな観察と予防が要なのですわ。
覚えるコツは「パイプが硬く・ポンプが弱く・タンクが小さく・守りが薄く」。血管(パイプ)が硬い→血圧上昇&立ちくらみ。肺・心臓(ポンプ)が弱い→息切れ・疲れ。膀胱(タンク)が小さい→頻尿。免疫(守り)が薄い→感染しやすい。そして体温調節がにぶって熱中症。だから現場では急に立たせない・水分・室温管理・転倒予防。理屈が分かれば対応は全部つながります。
血管が硬化→血圧上昇。収縮期↑・拡張期↓。起立性低血圧。赤血球減で貧血。
肺胞が硬く、残気量増→息切れ。呼吸筋低下・脊柱前屈で浅い呼吸。
筋繊維萎縮(特に下肢)。骨吸収>骨形成→骨折。関節軟骨変性→関節痛。
腎機能低下→薬が蓄積。膀胱縮小→頻尿・夜間頻尿。骨盤底筋低下→尿失禁。
胸腺萎縮・リンパ球減少→感染しやすい。20歳がピーク。
発汗・基礎代謝低下、感覚も鈍る→熱中症を起こしやすい。
血管:心臓から出る血管を動脈、戻る血管を静脈といいます。加齢で血管壁が肥厚しもろくなって弾力性が低下し、血栓ができることも。血管が狭くなり抵抗が増すため血圧が高くなります。静脈には逆流防止弁があり下肢の筋収縮で血液を心臓へ戻しますが、下肢筋力低下や静脈の拡張・蛇行が起こります。
血圧:加齢により収縮期血圧は上昇、拡張期血圧は低下します。血圧変化を受容・調整する働きが低下するため、急に立ち上がったときの立ちくらみ=起立性低血圧に注意が必要です。血液:血液は骨髄でつくられますが、加齢で赤色骨髄が減少し赤血球が減るため、疲労・だるさ・貧血を訴えやすくなります。
血管が硬いホースになる→押し出す圧が上がる(高血圧)。でも調整がにぶいから、立った瞬間は逆に脳へ血が回らずクラッ(起立性低血圧)。だから「ゆっくり起こす・一拍待つ」。血をつくる工場(骨髄)も衰えて貧血気味。「だるい・ふらつく」は気合いの問題じゃない、というのが本音です。
ガス交換:肺胞と血液の間のガス交換を外呼吸、細胞と血液の間を内呼吸といいます。高齢になると肺胞壁の間質が厚く硬くなり、血中の酸素濃度が低下。外へ吐き出せず肺に残る残気量が増え、息切れしやすくなります。呼吸筋:外呼吸には横隔膜と肋間筋が必要です。加齢で呼吸筋が衰え、脊柱が前屈すると胸腔が狭まり、呼吸が浅くなります。肺の炎症や肺気腫にもかかりやすくなります。
肺が硬くなって「吸っても入りにくい・吐いても残る」。背中が丸くなるとさらに浅くなる。だから少し動くと息切れ。これも「運動不足だから」と片づけず、こまめな休息と姿勢でカバーする話です。
| 部位 | 変化 | ポイント |
|---|---|---|
| 筋肉 | 筋繊維が萎縮し、筋量に見合う筋力が出にくい。大腿伸筋群(下肢)は70歳で20歳代の約60%に減少。 | 上肢は日常で使うため筋量が維持されやすい。下肢から弱る=転倒リスク。 |
| 骨 | 破骨細胞による骨吸収と骨芽細胞による骨形成で再生。高齢では骨吸収>骨形成。 | 骨量(骨密度)が減り、海綿骨に空洞が増え骨折しやすい。脊柱管・椎間板の変形で腰痛・しびれ。 |
| 関節 | 関節軟骨に負荷→コラーゲン線維が損傷し軟骨が変性。 | 骨同士がぶつかり関節痛・可動域低下。筋力低下でも関節痛は起こる。 |
弱るのはまず脚(下肢)。だから転ぶ。骨は「壊す係が作る係を上回る」からスカスカ=転んだら折れる。関節はクッション(軟骨)がすり減って痛い。下肢の筋トレ・骨を守る栄養・関節をかばう介助——全部ここに根拠があります。
老廃物のろ過、水分・電解質の調節、赤血球をつくるホルモン分泌、血圧調節、ビタミンDの活性化を担う。機能低下で薬物が排出されにくく蓄積→副作用。糸球体濾過量・尿濃縮力が低下。
収縮力低下で残尿。膀胱容量も減り頻尿。夜間につくられる尿量が増え夜間頻尿に。
骨盤底筋群が衰えると尿失禁。女性は尿道が約3〜4cmと短く失禁しやすい。男性は前立腺肥大で排尿困難。
腎臓が薬を出しきれないから薬がたまって効きすぎる・副作用。膀胱が小さく縮むから近い・夜トイレ。骨盤底筋がゆるむと漏れる(女性は尿道が短くて特に)。男性は前立腺で出にくい。頻尿は転倒(夜間)と脱水(水分を控える)の両方を招くので、ケアの設計が大事です。
免疫:体外から異物や病原体が侵入すると、見つけて攻撃する働き。加齢で免疫細胞をつくる胸腺が萎縮し、リンパ球が減少して免疫力が低下します。リンパ球は骨髄でつくられ、T細胞は胸腺で成熟し抗原を直接攻撃(細胞免疫)、B細胞は抗体を分泌して間接的に攻撃(液性免疫)。どちらも20歳をピークに減少します。
体温調節:体温は間脳の視床下部にある体温調節中枢でコントロールされます。高齢になると基礎代謝の低下、発汗機能の低下、筋肉量の減少などで調節が弱り、特に高温多湿の環境では熱中症が生じやすくなります。
守る力(免疫)は20歳がピークでずっと下り坂。だから高齢者は感染症が重くなりやすい。体温調節は「暑さ・喉の渇きに気づけない+汗をかけない」のダブルパンチ。本人が訴えなくても、室温・水分はこちらが管理する。これが熱中症を防ぐ唯一の道です。
起立性低血圧:急に立ち上がったときなど姿勢の変化で血圧が下がり、立ちくらみ・ふらつきが起こること。加齢で血圧調整が遅れて起こりやすい。細胞免疫=T細胞が抗原を直接攻撃。液性免疫=B細胞が抗体を分泌して間接的に攻撃。いずれも20歳をピークに低下する。
Q1. 加齢に伴う循環機能の変化で、適切なものはどれ?
Q2. 加齢に伴う筋・骨・関節の変化で、適切なものはどれ?
Q3. 加齢に伴う泌尿器・免疫・体温調節の変化で、適切なものはどれ?