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発達と老化の理解Ⅰ・第2章 Lesson 3
06

高齢者の睡眠

眠りが浅くなるのは、当たり前。だから工夫する

睡眠の目的と仕組み(レム睡眠・ノンレム睡眠)、加齢による睡眠の変化と睡眠障害、そして適切な睡眠支援までを国試の形に整理。

「夜眠れない・昼うとうと」は性格や怠けではなく加齢の仕組み。責めずに支える方法をまとめます。

アテナ様の導き

睡眠は、脳と身体を休め、成長ホルモンの分泌・免疫の強化・記憶の整理を行う大切な時間です。眠りには身体を休めるレム睡眠と、脳を休めるノンレム睡眠があります。加齢とともに深い眠りが減り、夜中に目が覚めやすくなる——これは自然なこと。大切なのは「眠れない」を責めることではなく、本来の生体リズムに沿って支えること。昼に短い休息を上手に挟むことも、立派な睡眠支援ですわ。

アテナ様の導き(本音モード)

「夜に何度も起きる・朝早く目が覚める・昼にうとうと」——高齢者にはほぼ全員に起こる正常な変化です。だから「夜眠れないなら睡眠薬」と短絡しない。まず原因(前立腺肥大の頻尿、かゆみ、痛み、うつ、薬、カフェイン)を探す。そして昼に動いて夜に眠るリズムを取り戻す。眠気が強いときの10〜20分の昼寝はむしろOK。ただし無理に起こさない・大きな音を出さない。眠りを“整える”発想が現場の正解です。

1枚でつかむ:睡眠の5つの目的
眠りは「ただの休み」ではなく、体のメンテナンス時間

🧠 脳の疲労回復

日中の活動で疲れた脳を休め、機能を回復させる。

📈 成長ホルモン

睡眠中に分泌され、消耗した細胞を修復する。

🛡 免疫の強化

副交感神経が優位になり、免疫細胞が活発化して免疫力が高まる。

🗂 情報の整理

日中に得た情報を取捨選択し、必要なものを保存(記憶の整理)。

🩺 血圧・血糖の調整

睡眠不足はホルモンバランスを崩し、高血圧・糖尿病・肥満につながる恐れ。

1. 睡眠の仕組み(レム睡眠・ノンレム睡眠)
身体を休める眠りと、脳を休める眠り

レム睡眠

  • 身体を休める眠り
  • 眼球が速く動く・夢を見る
  • 脳は比較的活発で眠りは浅い

ノンレム睡眠

  • 脳を休める眠り
  • 深い眠り(前半に多く現れる)
  • 成長ホルモンの分泌が盛ん

睡眠中はノンレム睡眠とレム睡眠が周期的に繰り返されます。健康な成人では眠り始めに深いノンレム睡眠が現れ、明け方になるにつれてレム睡眠が増えていきます。加齢に伴い深いノンレム睡眠が減少し、夜間の中途覚醒や早朝覚醒が増え、レム睡眠率も低下していきます。総睡眠時間も短くなる傾向があります。

ざっくり:レム=体は休むが脳はうっすら起きてる浅い眠り(夢を見る)ノンレム=脳までしっかり寝る深い眠り。歳をとると、この「深い眠り」が減る。だからちょっとした物音で起きる・夜中に何度も目覚める・朝早く目が覚める。仕組みの問題なので、責めても眠れるようにはなりません。

2. 高齢者の睡眠障害
原因は心・体・薬・生活習慣と多様

高齢者では、退職・死別などの喪失体験、健康や生活への不安、活動量の低下やメリハリのない生活、心身の病気やその治療薬の副作用などにより、不眠・日中の眠気・夜間の異常行動といった睡眠障害が生じやすくなります。具体的には、前立腺肥大による頻尿、皮膚掻痒症によるかゆみ、関節リウマチによる痛みなど。さらにうつ病・認知症・アルコール依存症などの精神疾患でも生じます。若い頃は影響のなかった生活習慣(運動不足・夜勤など)や嗜好品(カフェイン・アルコール)でも睡眠障害が起こることがあります。

心の要因

喪失体験、不安、「眠れないこと」への不安、うつ・認知症など。

体の要因

頻尿(前立腺肥大)、かゆみ(皮膚掻痒症)、痛み(関節リウマチ)など。

生活・薬の要因

活動量低下、治療薬の副作用、カフェイン・アルコール、運動不足・夜勤。

「眠れない」には必ず裏の原因がある。夜トイレで起きる(前立腺)、かゆくて起きる、痛くて起きる、心配で眠れない、コーヒー・お酒……。睡眠薬の前に原因を一つずつつぶすのが本筋。訴えがあれば早めに専門医へ、というのも大事です。

3. 高齢者の睡眠支援
リズムを整え、昼の休息も上手に
支援の流れ
1

原因を探る

日常生活全体をアセスメントし、不眠・眠気の原因を探す。症状によっては早めに専門医を受診し、原因に応じて対処する。

2

生体リズムを整える

日中に活動して夜に眠るという本来のリズムに合わせて支援する。

3

昼の短い睡眠を活用

夜に十分眠れないときは日中の短い睡眠(10〜20分)が有効。眠気が強いときに眠るとすぐノンレム睡眠に入り、短時間でも快適感が得られる。

4

休息は無理なく

疲労感がみられたら早めに休息。本人が感じていなくても1〜2時間ごとに15〜30分の休息を入れる。無理に起こさない・大きな音を出さない

ポイントは「昼にしっかり起こして動かす→夜に眠る」を取り戻すこと。ただし眠気が強い高齢者を無理に起こし続けるのは逆効果。10〜20分の昼寝はOK、でも昼寝から無理やり起こすと放心状態になることがあるので、そっと。加齢で疲れやすく回復に時間がかかるから、こまめな休息がむしろ夜の良い眠りにつながります。

WORD:レム睡眠 と ノンレム睡眠
国試で問われる用語

レム睡眠:身体を休める浅い眠り。眼球が速く動き(Rapid Eye Movement)、夢を見ることが多い。ノンレム睡眠:脳を休める深い眠りで、眠りの前半に多く現れ、成長ホルモンの分泌が盛ん。加齢では深いノンレム睡眠が減り、中途覚醒・早朝覚醒が増える。

試験に出るところ
本音でまとめる
理解度チェック
押すと答えが出ます

Q1. 睡眠とレム・ノンレム睡眠に関する記述で、適切なものはどれ?

正解はB。ノンレム睡眠は脳を休める深い眠りで前半に多く現れます。レム睡眠は身体を休める浅い眠りで夢を見ることが多く、睡眠には成長ホルモン分泌や免疫強化など多くの役割があります。

Q2. 加齢に伴う睡眠の変化として、適切なものはどれ?

正解はB。加齢で深いノンレム睡眠が減少し、夜間の中途覚醒や早朝覚醒が増えます。総睡眠時間はむしろ短くなる傾向があります。

Q3. 高齢者の睡眠支援として、最も適切なのはどれ?

正解はB。本来の生体リズム(日中活動・夜間睡眠)に合わせ、十分眠れないときは日中の短い睡眠(10〜20分)が有効です。昼寝から無理に起こすと放心状態になることがあるため、無理に起こしたり大きな音を出さないようにします。
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