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発達と老化の理解Ⅱ・第1章 Lesson 1・2
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発達の定義と発達理論

人は「生まれてから死ぬまで」育ち続ける

発達・成長・成熟の違い、生理的発達と心理的発達、「遺伝か環境か」をめぐる4つの発達理論、そして臨界期までを国試の形に整理。

「発達」は子どもだけの話じゃない。人は一生かけて変わり続ける——その土台になる考え方と理論をまとめます。

アテナ様の導き

「発達」とは、子どもが大きくなることだけを指すのではありません。受胎から死に至るまで、一生の変化すべてが発達です。身長・体重のように量的に増えるのが成長、それが一定水準に達するのが成熟。そして心の質的な変化も含めて発達と呼びます。人の発達は「遺伝か、環境か」と長く論じられてきましたが、今は両方の相互作用で進むと考えられています。介護では老年期もまた発達の途上だと知ること——それが高齢者を「衰える人」ではなく「育ち続ける人」として見る出発点ですわ。

アテナ様の導き(本音モード)

キモは「成長=量、成熟=到達点、発達=一生ぜんぶ」の3点セット。試験では「老年期は発達ではない」みたいな引っかけが出るけど、老年期も発達のうち。理論はゴチャつくけど、遺伝寄り(ゲゼル)/環境寄り(ワトソン)/両方が絡む(ジェンセン・シュテルン)の3グループで覚えれば十分。誰がどの説か、だけ押さえれば点になります。

1枚でつかむ:発達・成長・成熟
言葉の区別が、そのまま国試の1点になる

成長

加齢に伴う身体的・生理的変化。身長・体重のように量的に増加する現象。

成熟

成長が一定の水準に到達すること。

発達

身体の成長・成熟だけでなく精神面の質的な変化も含む。受胎〜死までの一生の変化すべて。

発達は遺伝(生物学的成熟)と環境(経験・学習)の相互作用で規定される。相互作用には時期も重要。

1. 生理的発達と心理的発達
からだの発達と、こころの発達

生理的発達は、主に身体面の成長・成熟です。受胎後に脳や心臓などがつくられ、聴覚・視覚などの感覚機能が発達して胎児が誕生します。乳幼児期は発達が著しい急成長期、6〜12歳頃に緩慢期となり、その後第二次性徴(性的成熟)とともに再び急成長期が訪れます。40歳頃に運動能力の低下や生活習慣病が、60歳代に老化が現れます。

心理的発達は、主に精神面の質的な変化で、身体の成長と相互に関連します。乳児期に感情が芽生え、特定の人との情緒的な結びつき=愛着(アタッチメント)が人格形成や自我の発達に影響します。幼児期には大人に反抗する第一反抗期(自我の芽生え)が、思春期には第二反抗期が現れ、友人・異性との関係を通してアイデンティティを獲得していきます。

からだ(生理的)とこころ(心理的)は別々に育つのではなく絡み合って育つ。試験で大事なのは流れ:急成長(乳幼児)→ゆるやか(6〜12歳)→また急成長(第二次性徴)の波。そして愛着(アタッチメント)=特定の人との情緒的な結びつき、これが土台。反抗期も「困った行動」ではなく自我が育っている証拠です。

2. 発達理論(遺伝か、環境か)
4つの説と、その提唱者

かつては「発達は遺伝で決まるのか、環境で決まるのか」が論じられました。今日では遺伝と環境の双方から影響を受けて発達すると考えられています。代表的な4つの説を整理します。

説(提唱者)内容
成熟優位説
(遺伝説)
A.L. ゲゼル
発達は遺伝でなされ、環境の影響を受けないとする説。素因が成熟し、ある行為にふさわしい時期になると学習・訓練の効果が得られる。その準備が整った状態をレディネス(準備性)とよぶ。
学習優位説
(環境説)
J.B. ワトソン
発達は学習や経験(環境)によって変化し、外部からの刺激が大きいとする説。「遺伝は関係なく、環境からのはたらきかけでどうにでもなる」とした。
相互作用説
(環境閾値説)
A.R. ジェンセン
遺伝的素因は、環境要因がある水準(閾値)に達したときに発揮されるとする説。身長・母国語はある程度の環境で発達するが、運動能力や絶対音感は適切な時期に適切な訓練がないと発現しにくい。
輻輳説
W. シュテルン
遺伝要因と環境要因は独立しており、互いに影響し合うのでなく寄り集まって(加算されて)発達がなされるとする説(遺伝80%+環境20% のように)。

覚え方:ゲ=遺伝(成熟優位)、ワ=環境(学習優位)。残り2つは「両方絡む」グループで、ジェンセン=環境が一定ライン(閾値)を超えたら遺伝が出るシュテルン=遺伝と環境を足し算(輻輳=寄り集まる)。閾値=ジェンセン、足し算=シュテルン、この2点だけ間違えなければOK。

3. 臨界期と刷り込み
「最も適した時期」がある

動物行動学者 K. ローレンツは、動物の生活史のある時期に特定の物事が極めて短期間で覚えこまれ長く持続する学習現象=刷り込み(インプリンティング)を発見しました。一定期間を過ぎるとこの現象が起こらないことから、発達にはその特性を獲得するのに最も適した時期=臨界期があると考えられています。言語の獲得など人間にも多くの臨界期があり、初期環境の重要性が指摘されます。ただし臨界期は絶対的ではなく、過ぎた後でも環境のはたらきかけで発達することがあります(キャッチアップ現象)。

刷り込み=ヒヨコが生まれて最初に見た動くものを親と思う、あれ。「覚えるのに一番いい時期(臨界期)がある」という話。言語習得が子どものほうが速いのもこれ。でも過ぎても取り返せる(キャッチアップ)から、高齢者の学びをあきらめる理由にはなりません。

WORD:レディネス / 刷り込み(インプリンティング)
国試で問われる用語

レディネス(準備性):ある行為を学習・習得するための心身の準備が整った状態。ゲゼルが重視。刷り込み(インプリンティング):生後の特定の短い時期に対象を覚えこむ学習現象。ローレンツが発見し、臨界期の存在を示す根拠となった。

試験に出るところ
本音でまとめる
理解度チェック
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Q1. 発達・成長・成熟に関する記述として、最も適切なのはどれ?

正解はB。発達は受胎から死までの一生の変化で、身体の成長・成熟だけでなく精神面の質的変化も含みます。成長は量的な増加、成熟はそれが一定水準に達することです(Cは成熟の説明)。

Q2. 発達理論とその提唱者の組み合わせで、適切なものはどれ?

正解はA。成熟優位説(遺伝説)はゲゼルです。学習優位説(環境説)はワトソン、輻輳説はシュテルン、相互作用説(環境閾値説)はジェンセンが提唱しました。

Q3. 臨界期と刷り込みに関する記述で、適切なものはどれ?

正解はB。臨界期は絶対的ではなく、過ぎた後でも環境のはたらきかけで発達が進むことがあります(キャッチアップ現象)。刷り込みを発見したのはローレンツです。
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