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発達と老化の理解Ⅱ・第2章 Lesson 1
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老年期の人格
定義・老性自覚・喪失体験・うつ

「歳をとった」と気づくこと、失っていくこと

高齢者の定義(前期・後期高齢者)、発達段階としての老年期、老性自覚、4つの喪失体験、老年期うつ病と仮面うつ病、要介護状態の心理までを国試の形に整理。

老いを自覚し、大切なものを失っていく時期。その心の動きと、見逃しやすいうつのサインをまとめます。

アテナ様の導き

老年期は、これまで積み重ねたものを振り返り、統合していく時期であると同時に、身体・役割・大切な人を失っていく時期でもあります。「自分は歳をとった」と気づくこと(老性自覚)には大きな個人差があり、それ自体が主観的な体験です。失う体験が重なると、心は揺らぎ、ときにうつへと傾きます。とくに高齢者のうつは身体の不調の陰に隠れやすい——だからこそ、変化に気づき、その人の歴史に耳を傾ける姿勢が大切なのですわ。

アテナ様の導き(本音モード)

試験で点になるのは「数字」と「隠れたうつ」。前期高齢者=65〜75歳未満、後期高齢者=75歳以上。これは丸暗記。そして仮面うつ病——「頭が痛い・肩がこる」と体の不調ばかり訴えて、心の落ち込みが隠れているやつ。検査して異常なし=心を疑う。現場でも「最近元気ないな」を見逃さないのが、命を守る話です。

1枚でつかむ:高齢者の定義と老年期
まずは「年齢の線引き」を固める

WHO・日本の目安

WHO・内閣府「高齢社会白書」とも65歳以上を高齢者の目安とする。

前期高齢者

高齢者医療確保法で65歳〜75歳未満

後期高齢者

同法で75歳以上

エリクソンの発達段階では、老年期(65歳〜)の課題は「自我の統合 vs 絶望」。達成で英知を獲得する。

1. 法律における高齢者の定義
法律ごとに年齢の扱いが違う
法律高齢者の定義・扱い
老人福祉法老人を明確に定義していないが、事実上65歳以上を老人と位置づけて福祉を定める。
介護保険法65歳以上を第1号被保険者と位置づけ、原因を問わず要介護状態になれば介護保険制度を利用できる。
高齢者医療確保法65〜75歳未満=前期高齢者、75歳以上=後期高齢者と定める。
高齢者虐待防止法高齢者を65歳以上と定めている。
高年齢者雇用安定法高年齢者を55歳とし、企業が定年を設ける場合は60歳未満にしてはならないと定める。

バトラー(R.N.バトラー)は、エイジズム(高齢者への偏見・差別)に対し、普通の生活者にみられる高齢者の特徴を10項目に整理。例:時間の質を重視する「時間感覚の変化」、過去を振り返る「人生回顧への傾向」、そして好奇心や変化する能力は必ずしも年齢とともに衰えないこと。

2. 老性自覚
「自分は歳をとった」という主観的な気づき

加齢に伴い、人は自身の老いを自覚するようになります。これを老性自覚といいます。きっかけは、身体的・精神的機能の衰え、社会における役割の変化配偶者との死別など。ただしその年齢には個人差が大きく、80歳でも老性の自覚がない人もいます。老性自覚は主観的で個人的な体験です。マイナス面(意欲の減退・活動範囲の縮小・生きがいの喪失・孤独感)として現れる人もいれば、豊かな人生観や円熟した人格というプラス面から自覚する人もいます。

老性自覚=「あ、自分も歳とったな」と本人が思うこと。ポイントは主観的=人それぞれで、80歳でも「まだ若い」人もいる。だから「もう高齢者なんだから」とこちらが決めつけない。自覚の仕方しだいで、しょげる人にも円熟する人にもなる。どっちに転ぶかに、関わり方が効いてきます。

3. 喪失体験
老年期に失う「4つのもの」

① 心身に関すること

身体機能の低下など。

② 経済的な基盤

退職などによる収入減。

③ 家族や社会とのつながり

死別・退職などによる人間関係の縮小。

④ 生きていく目的

役割の喪失などによる生きがいの低下。

心のよりどころを失うことは心身に大きく影響します。とくに配偶者との死別は生きる意欲を失わせ、うつ状態になることも少なくありません。喪失がもたらした状況を受け入れるのは容易ではなく、現状を認められないストレスからうつは誰にでも起こりうると考えられます。変化に気づき、回復を支援することが重要です。

4. 老年期うつ病・仮面うつ病
身体症状の陰に隠れる心の不調

老年期うつ病は、身体の衰え・病気・役割の変化・死別など、うつ病のきっかけとなる出来事が他の年代より多くなります。うつ病では気分の落ち込み・意欲の低下・希死念慮などの精神症状に加え、頭痛・腹痛・めまい・手足のしびれなどの身体症状を訴えることがあります。受診して検査しても異常がない場合は仮面うつ病の可能性があります。仮面うつ病とは、身体症状が強いために精神症状が隠れてしまっている状態。心の問題に気づけず進行することもあるため、すみやかに専門医への受診を促します。

高齢者のうつは「心が沈む」より先に「体が痛い」で出ることが多い。これが仮面うつ病。だから「検査しても異常なし、でも元気がない・あちこち痛いと言う」→心を疑う。希死念慮(死にたい気持ち)は軽く流さない。早めに専門医へ、が鉄則です。

5. 要介護状態と高齢者の心理
満たされにくくなる欲求

要介護状態に伴うADL(日常生活動作)の低下は、さまざまな欲求を満たしにくくします。①ADL低下で生理的欲求・安全欲求が満たされず不安・恐怖に、②自立的行動の制約で人間関係・社会活動が縮小し所属・愛情の欲求が満たされにくく、③活動や参加の制限で自尊心が低下し(危ぶまれると防衛的行動の原因に)、④自己実現が阻害されます。要介護になった背景や過程に配慮し、その人が何を望んでいるかを理解して支援を続けることが大切です。

マズローの欲求の階段が、介護が必要になると下から崩れていくイメージ。まず命と安全(生理的・安全欲求)、次に居場所(所属・愛情)、自尊心、自己実現。だから支援もまず安心・安全から。そのうえで「この人は何をしたいのか」を聴く。順番を間違えないことが大事です。

WORD:前期・後期高齢者 / 仮面うつ病 / 希死念慮
国試で問われる用語

前期高齢者=65〜75歳未満/後期高齢者=75歳以上(高齢者医療確保法)。仮面うつ病:身体症状が前面に出てうつの精神症状が隠れた状態。検査で異常がないのに不調が続くときに疑う。希死念慮:自らの死を望む気持ち。「眠りたい」「楽になりたい」など消極的に死を意識する状態も含まれる。

試験に出るところ
本音でまとめる
理解度チェック
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Q1. 高齢者の定義に関する記述として、適切なものはどれ?

正解はB。高齢者医療確保法では65〜75歳未満が前期高齢者、75歳以上が後期高齢者です。介護保険法の第1号被保険者は65歳以上(40〜64歳は第2号被保険者)です。

Q2. 老性自覚に関する記述で、最も適切なのはどれ?

正解はB。老性自覚は主観的・個人的な体験で個人差が大きく、80歳でも自覚がない人もいます。円熟した人格というプラス面から自覚する人もいます。

Q3. 老年期うつ病・仮面うつ病に関する記述で、適切なものはどれ?

正解はB。仮面うつ病は身体症状が前面に出て精神症状が隠れた状態です。高齢者のうつ病は頭痛・めまいなど身体症状を伴いやすく、希死念慮には「眠りたい」「楽になりたい」など消極的に死を意識する状態も含まれます。
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