ライチャードとニューガーテンの人格類型、サクセスフル・エイジングとその構成要素、改訂版PGCモラールスケール、そして回想法を中心とした適応支援を国試の形に整理。
老いへの向き合い方には型があり、より良く老いる(サクセスフル・エイジング)ための支援がある。その中身をまとめます。
同じように歳を重ねても、老いの受けとめ方は人によってさまざまです。ライチャードは高齢男性の人格を5つのタイプに分け、適応できる型とできない型を示しました。大切なのは「正しい型」を当てはめることではなく、その人がどう老いと向き合っているかを理解すること。そして、誰にでも訪れる老いを受容してより良く生きる——それがサクセスフル・エイジングです。介護職が高齢者の人生の物語に耳を傾ける(回想法)ことは、その人の存在価値を支え、私たち自身の喜びにもつながりますわ。
試験で狙われるのはライチャードの5類型。適応できる3つ=円熟型・安楽椅子型・防衛型、適応できない2つ=外罰型(他人のせい)・内罰型(自分のせい)。罰の向きで覚える:外=他責、内=自責。そしてサクセスフル・エイジング=うまく歳をとる、その指標は本人が感じる主観的幸福感。最後の回想法は「昔話を聴く」だけで認知症予防にもなる、現場で一番使える支援です。
適応。過去も含め自分の生き方を受容し前向き。趣味・人間関係に満足。
適応。他人に依存し消極的に受容。引退を好み楽に暮らす。
適応。老いへの不安を活動し続けて抑圧。仕事への責任感が強い。
不適応。老化の現実を受け入れられず、思い通りにならないと他人を非難・攻撃。
不適応。人生を失敗とみなし原因は自分にあると考える。死を恐れない。
適応=円・安・防/不適応=外(他責)・内(自責)。
| 適応 | 類型 | 特徴 |
|---|---|---|
| 適応 できる | 円熟型 | 過去も含めて自分の生き方を受容し、前向きに対処。趣味・関心が多く人間関係にも満足。 |
| 安楽椅子型(依存型) | 他人への依存傾向があり消極的に人生を受容。引退を好み、責任から解放され楽に暮らそうとする。 | |
| 防衛型(装甲型) | 老化への不安を活動し続けることで抑圧し自己防衛。仕事への責任感が強い。 | |
| 適応 できない | 外罰型(憤慨型) | 過去や老化の現実を受け入れられず、思い通りにならないことを他人のせいにして非難・攻撃する。 |
| 内罰型(自責型) | 自分の人生を失敗とみなし、原因は自分にあると考える。死を解放と捉え恐れない。 |
また、ニューガーテンは高齢男性を対象に、人格類型を統合型・防衛型・受身依存型・不統合型の4つに分類しました(統合型は再統合型・集中型・離脱型など、活動量と満足感の組み合わせで細分されます)。
日本人の平均寿命は年々延び、老年期は平均で約20年に及びます。誰にでも訪れる老化を受容し、より良く生きることが高齢者の重要な課題です。老年期にうまく適応して幸福でより良い人生を送ることをサクセスフル・エイジングといいます。決まった訳語はありませんが、指標として主観的幸福感(生活全般に対する幸福感)が提案されています。幸せの感じ方には個人差があるため、本人が幸せを感じる主観的評価を重視する考え方です。
長く生きること。
生活の質が高く保たれること。
社会とつながり、役割を果たすこと。
※研究途上で分野により定義は異なるが、構成要素として「長寿」「高い生活の質」「社会貢献」の3つが挙げられる。
サクセスフル・エイジング=「うまく歳をとる」。ポイントは、長生きや健康だけで測らず本人が幸せと感じているか(主観的幸福感)を大事にすること。寝たきりでも「いい人生だ」と思える人もいる。外から「成功/失敗」を決めつけないのがミソです。
高齢者の主観的側面を測定する代表的な尺度に改訂版PGCモラールスケールがあります。「モラールスケール」とは「幸福な老後」を表す概念で、個人の内面的・主観的な幸福感や充実感を測る評価です。改訂版は「心理的動揺」「老いに対する態度」「孤独感・不満足感」の3因子(側面)から構成され、17の質問項目に「はい」「いいえ」で答え、主観的QOLを評価します。
気持ちの揺れ・不安の程度。
加齢をどう受けとめているか。
さびしさや不満の程度。
老年期は心身の衰えや喪失体験から、若い頃より死を強く意識するようになります。死に対する考え方(死生観)は人それぞれですが、老いを受容し残された人生を楽しむことが、死を受容する大切な要素になります。介護の場で高齢者が昔を思い出して語ることはよくあり、その表情は穏やかで生き生きしています。過去を回想して人に話すこと(回想法)は認知症の予防にも有効とされ、未解決の課題を見直すうえでも重要です。介護職が人生の物語を聴くことで発達課題の達成度が向上したという報告もあります。
回想法=昔話を聴くケア。ただの世間話に見えて、認知症予防にもなるし、本人の「いい人生だった」という統合を助ける。しかも聴く介護職の側もその人への関心が深まって、ケアが楽しくなる。「自分の話を聴いてくれる人がいる」——これが存在価値の実感につながる。お金も道具もいらない、最強の支援です。
サクセスフル・エイジング:老年期にうまく適応し、幸福でより良い人生を送ること。指標は主観的幸福感。構成要素は長寿・高い生活の質・社会貢献。回想法:過去の出来事を回想して語る支援。認知症予防や発達課題の達成に有効。改訂版PGCモラールスケール:「幸福な老後」をはかる尺度。心理的動揺・老いに対する態度・孤独感不満足感の3因子。
Q1. ライチャードの高齢者の人格類型に関する記述で、適切なものはどれ?
Q2. サクセスフル・エイジングに関する記述で、最も適切なのはどれ?
Q3. 老年期の適応への支援(回想法)に関する記述で、適切なものはどれ?