老年症候群、痛み(頭痛・胸痛・腰背部痛)、めまい、しびれ、浮腫、食欲不振、倦怠感。高齢者がよく訴える症状と、その裏にある危険なサインを国試の形に整理。
高齢者の「痛い・ふらつく・だるい」には、放っておけないものが混じります。見分けのポイントをまとめます。
加齢に伴い高齢者に起こりやすい特有の症状・徴候をまとめて老年症候群といい、その項目は50以上。複数の症状を併せもつため、いくつもの診療科を受診することになります。大切なのは、ありふれた「痛い」「ふらつく」「だるい」の中に、命に関わるサインが隠れていないかを見抜くこと。たとえばハンマーで殴られたような頭痛はくも膜下出血、ぎっくり腰と勘違いされる激痛は大動脈解離かもしれません。「いつもの訴え」と侮らず、バイタルを確認して医療職へつなぐ判断力が、介護職には求められますわ。
高齢者は痛みの感じ方が鈍いから、重症でもあまり訴えないことがある。だから「言わない=大丈夫」じゃない。逆に突然の激痛は危険信号——ハンマーで殴られたような頭痛(くも膜下出血)、ぎっくり腰みたいな背中の激痛(大動脈解離)。試験では間欠性跛行=腰部脊柱管狭窄症、圧痕=浮腫がよく出ます。ここを押さえましょう。
老年症候群=加齢に伴い高齢者に起こりやすい特有の症状・徴候の総称(50項目以上)。複数の症状を併せもつため複数の診療科を受診する。病気やけがで自覚症状のある人を有訴者といい、65歳以上の有訴者率は約433.6(人口千対)で半数近くが何らかの自覚症状をもつ。
くも膜下出血=後頭部をハンマーで殴られたような激痛+嘔吐・意識障害。
心筋梗塞=強く長い痛みで左肩・上腹部に放散。ニトロが効かない。
大動脈解離=背部の激痛。「ぎっくり腰」と勘違いされるが命に関わる。
急激な浮腫は臓器・循環器の異常のサインのことがある。
| 部位 | 代表疾患と特徴 |
|---|---|
| 頭痛 | くも膜下出血(ハンマーで殴られたような激痛+嘔吐・意識障害)、慢性硬膜下血腫(転倒でぶつけた後じわじわ出血)、脳腫瘍(目覚め時の慢性頭痛)。嘔吐・視力障害を伴う頭痛は緊急。 |
| 胸痛 | 胸が締めつけられる痛み=狭心症・心筋梗塞。狭心症はニトログリセリンで1〜2分で改善、心筋梗塞はニトロが効かず救急搬送が必要。 |
| 手足の痛み | 関節リウマチ(手指・手首などの腫脹・こわばり・疼痛)。自己判断で市販薬服用・服薬中止は悪化のもと。 |
| 腰背部痛 | 変形性脊椎症、腰部脊柱管狭窄症(間欠性跛行)、脊椎圧迫骨折(骨粗鬆症が原因、起き上がる瞬間に鋭い痛み=体動時腰痛)。生命に関わる腰痛=大動脈解離・化膿性脊椎炎・悪性腫瘍の骨転移など。 |
腰背部痛で覚えるべきは2つ。間欠性跛行=歩くと足が痛くなり、前かがみで休むとまた歩ける=腰部脊柱管狭窄症。そして骨粗鬆症の人が動いた瞬間に腰が痛い=圧迫骨折を疑って医療職へ。胸痛は「ニトロが効く=狭心症/効かない=心筋梗塞」が鉄板の区別です。
浮腫(むくみ)とは、皮下組織に余分な水分がたまった状態(細胞外液の間質液が異常に増加した状態)です。多くは下肢(膝から下)に、寝たきりの人では背部や仙骨部にみられます。浮腫の部分を指で押すと跡が残り、これを圧痕といい痛みはありません(腫脹は跡がつかず、限局し赤く熱感・痛みがある点で異なる)。
食欲不振は健康のバロメーターで、体調不良や疾患の兆しとして観察が重要です。倦怠感(だるさ)は加齢による体力低下だけでなく、病気が原因のこともあります。原因として、感染症(高齢者は典型症状が出にくく重症化に注意)、リウマチ性多発筋痛症、糖尿病、甲状腺機能亢進症、肝臓疾患、脱水(かくれ脱水)、栄養不足・貧血、精神的要因(うつ)、薬の副作用などがあります。とくに倦怠感は高齢者のうつ症状によく現れる症状の一つです。
「だるい」を年のせいにしない。裏に脱水・糖尿病・甲状腺・うつが隠れていることがある。高齢者はかくれ脱水になりやすい(喉の渇きに気づけず、トイレを我慢して水分を控える)。だるさ+元気がない+食欲ない、が続くならうつや脱水を疑って医療職へ、が現場の勘どころです。
老年症候群:加齢に伴い高齢者に起こりやすい特有の症状・徴候の総称(50項目以上)。間欠性跛行:歩き続けると足の痛み・しびれで歩けなくなるが、少し前かがみで休むと再び歩ける症状。腰部脊柱管狭窄症などでみられる。圧痕:浮腫のある部分を指で押すと残る跡。痛みはなく、腫脹(跡がつかない)と区別する。
Q1. 高齢者の痛みに関する記述で、適切なものはどれ?
Q2. 間欠性跛行に関する記述で、適切なものはどれ?
Q3. 浮腫(むくみ)に関する記述で、適切なものはどれ?