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発達と老化の理解Ⅱ・第3章 Lesson 2
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高齢者に多い訴え・症状

その「痛い・だるい」に、危険が隠れていないか

老年症候群、痛み(頭痛・胸痛・腰背部痛)、めまい、しびれ、浮腫、食欲不振、倦怠感。高齢者がよく訴える症状と、その裏にある危険なサインを国試の形に整理。

高齢者の「痛い・ふらつく・だるい」には、放っておけないものが混じります。見分けのポイントをまとめます。

アテナ様の導き

加齢に伴い高齢者に起こりやすい特有の症状・徴候をまとめて老年症候群といい、その項目は50以上。複数の症状を併せもつため、いくつもの診療科を受診することになります。大切なのは、ありふれた「痛い」「ふらつく」「だるい」の中に、命に関わるサインが隠れていないかを見抜くこと。たとえばハンマーで殴られたような頭痛はくも膜下出血、ぎっくり腰と勘違いされる激痛は大動脈解離かもしれません。「いつもの訴え」と侮らず、バイタルを確認して医療職へつなぐ判断力が、介護職には求められますわ。

アテナ様の導き(本音モード)

高齢者は痛みの感じ方が鈍いから、重症でもあまり訴えないことがある。だから「言わない=大丈夫」じゃない。逆に突然の激痛は危険信号——ハンマーで殴られたような頭痛(くも膜下出血)、ぎっくり腰みたいな背中の激痛(大動脈解離)。試験では間欠性跛行=腰部脊柱管狭窄症圧痕=浮腫がよく出ます。ここを押さえましょう。

1枚でつかむ:老年症候群と「危険な訴え」
ありふれた症状の中の赤信号

老年症候群=加齢に伴い高齢者に起こりやすい特有の症状・徴候の総称(50項目以上)。複数の症状を併せもつため複数の診療科を受診する。病気やけがで自覚症状のある人を有訴者といい、65歳以上の有訴者率は約433.6(人口千対)で半数近くが何らかの自覚症状をもつ。

⚠ 危険な頭痛

くも膜下出血=後頭部をハンマーで殴られたような激痛+嘔吐・意識障害。

⚠ 危険な胸痛

心筋梗塞=強く長い痛みで左肩・上腹部に放散。ニトロが効かない。

⚠ 危険な腰背部痛

大動脈解離=背部の激痛。「ぎっくり腰」と勘違いされるが命に関わる。

⚠ 急なむくみ

急激な浮腫は臓器・循環器の異常のサインのことがある。

1. 痛み(頭痛・胸痛・腰背部痛)
部位ごとの代表疾患
部位代表疾患と特徴
頭痛くも膜下出血(ハンマーで殴られたような激痛+嘔吐・意識障害)、慢性硬膜下血腫(転倒でぶつけた後じわじわ出血)、脳腫瘍(目覚め時の慢性頭痛)。嘔吐・視力障害を伴う頭痛は緊急
胸痛胸が締めつけられる痛み=狭心症・心筋梗塞。狭心症はニトログリセリンで1〜2分で改善、心筋梗塞はニトロが効かず救急搬送が必要。
手足の痛み関節リウマチ(手指・手首などの腫脹・こわばり・疼痛)。自己判断で市販薬服用・服薬中止は悪化のもと。
腰背部痛変形性脊椎症、腰部脊柱管狭窄症間欠性跛行)、脊椎圧迫骨折(骨粗鬆症が原因、起き上がる瞬間に鋭い痛み=体動時腰痛)。生命に関わる腰痛=大動脈解離・化膿性脊椎炎・悪性腫瘍の骨転移など。

腰背部痛で覚えるべきは2つ。間欠性跛行=歩くと足が痛くなり、前かがみで休むとまた歩ける=腰部脊柱管狭窄症。そして骨粗鬆症の人が動いた瞬間に腰が痛い=圧迫骨折を疑って医療職へ。胸痛は「ニトロが効く=狭心症/効かない=心筋梗塞」が鉄板の区別です。

2. めまい・しびれ
どこに原因があるか

めまい

  • 回転性(ぐるぐる回る)/浮動性(ふわふわ浮く)
  • 病変部位で末梢性/中枢性に分類
  • 脳血管障害は回転性・中枢性。注意が必要
  • メニエール病(一側性の難聴・耳鳴り)、良性発作性頭位めまい症(頭の位置で起こる)は比較的心配が少ない

しびれ

  • 原因は脳・脊髄・末梢神経
  • 脳(脳梗塞・脳出血)=左右どちらかの半身に限局
  • 脊髄=障害部位より下側に左右両側性
  • 末梢神経=糖尿病性末梢神経障害は四肢末端に左右対称。手根管症候群(正中神経圧迫)
3. 浮腫(むくみ)
水分が細胞の間にたまる

浮腫(むくみ)とは、皮下組織に余分な水分がたまった状態(細胞外液の間質液が異常に増加した状態)です。多くは下肢(膝から下)に、寝たきりの人では背部や仙骨部にみられます。浮腫の部分を指で押すと跡が残り、これを圧痕といい痛みはありません(腫脹は跡がつかず、限局し赤く熱感・痛みがある点で異なる)。

全身性因子(全身の病気)

  • 心臓病(心不全・心筋梗塞・狭心症)
  • 腎臓病(老廃物がたまり循環悪化)
  • 肝臓病(アルブミン低下→黄疸・腹水)
  • 低アルブミン血症(たんぱく質不足)

局所性因子・その他

  • 上大静脈症候群/深部静脈血栓症/下肢静脈瘤
  • 薬の副作用、熱傷・蜂窩織炎などの感染
  • 長時間同じ姿勢・冷え・塩分/水分の摂りすぎ
  • 高齢者の急激なむくみは臓器・循環器の異常を疑う
4. 食欲不振・倦怠感
「だるい」の裏にある病気

食欲不振は健康のバロメーターで、体調不良や疾患の兆しとして観察が重要です。倦怠感(だるさ)は加齢による体力低下だけでなく、病気が原因のこともあります。原因として、感染症(高齢者は典型症状が出にくく重症化に注意)、リウマチ性多発筋痛症、糖尿病、甲状腺機能亢進症、肝臓疾患、脱水(かくれ脱水)、栄養不足・貧血、精神的要因(うつ)、薬の副作用などがあります。とくに倦怠感は高齢者のうつ症状によく現れる症状の一つです。

「だるい」を年のせいにしない。裏に脱水・糖尿病・甲状腺・うつが隠れていることがある。高齢者はかくれ脱水になりやすい(喉の渇きに気づけず、トイレを我慢して水分を控える)。だるさ+元気がない+食欲ない、が続くならうつや脱水を疑って医療職へ、が現場の勘どころです。

WORD:老年症候群 / 間欠性跛行 / 圧痕
国試で問われる用語

老年症候群:加齢に伴い高齢者に起こりやすい特有の症状・徴候の総称(50項目以上)。間欠性跛行:歩き続けると足の痛み・しびれで歩けなくなるが、少し前かがみで休むと再び歩ける症状。腰部脊柱管狭窄症などでみられる。圧痕:浮腫のある部分を指で押すと残る跡。痛みはなく、腫脹(跡がつかない)と区別する。

試験に出るところ
本音でまとめる
理解度チェック
押すと答えが出ます

Q1. 高齢者の痛みに関する記述で、適切なものはどれ?

正解はB。くも膜下出血は突然の激しい頭痛と嘔吐・意識障害が特徴です。ニトログリセリンが効くのは狭心症、効かないのは心筋梗塞。高齢者はむしろ痛みの感じ方が鈍く、重症でも訴えが少ないことがあります。

Q2. 間欠性跛行に関する記述で、適切なものはどれ?

正解はA。間欠性跛行は歩行で足の痛み・しびれが出て歩けなくなり、少し前かがみで休むとまた歩けるようになる症状で、腰部脊柱管狭窄症などでみられます。

Q3. 浮腫(むくみ)に関する記述で、適切なものはどれ?

正解はB。浮腫は押すと跡が残る圧痕がみられ痛みはなく、全身性因子として心臓病・腎臓病・肝臓病・低アルブミン血症などがあります。跡が残らず限局し赤く熱をもつのは腫脹です。
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