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認知症の理解Ⅰ・第1章 Lesson 1
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認知症ケアの理念と視点

認知症ケアって何?
——「その人らしさ」を守る考え方のはじまり

認知症ケアの歴史(ケアなきケア〜全人的ケア)、国の施策(オレンジプラン〜新オレンジプラン)、そして3つの理念(パーソン・センタード・ケア/尊厳・権利擁護/住み慣れた地域)を国試の形に整理。

むかしは閉じこめる時代もありました。今は「本人を真ん中に」考えます。その移り変わりと、いちばん大事な約束ごとをやさしくまとめます。

アテナ様の導き

認知症の理解の出発点は「理念(どんな考えでケアをするか)」です。日本の認知症ケアは、行動制限や隔離をした「ケアなきケアの時代」から、本人を生活者として全人的に支える「全人的ケアの時代」へと、人権思想を背景に良くなってきました。今いちばん大切なのがパーソン・センタード・ケア(本人を主体としたケア)——「本人を抜きに決めない」という姿勢です。国の計画はオレンジプラン→新オレンジプランと進化しました。この流れと言葉を、根拠とともに身につけましょう。

アテナ様の導き(本音モード)

歴史はざっくり「閉じこめる→問題あつかい→人権を守る→その人まるごと支える」と良くなってきた、と覚えればOK。今いちばん大事な合言葉がパーソン・センタード・ケア=「本人を真ん中に、本人ぬきで決めない」。国の計画は「オレンジプラン(2012)→新オレンジプラン(2015)」。そして名前が「痴呆」→「認知症」に変わったのは2004年(厚生労働省)。ここだけは絶対に押さえましょう。

1枚でつかむ:認知症ケアの理念は、こう良くなってきた
「閉じこめる」から「その人を真ん中に」へ
1

ケアなきケアの時代

理念も方法論もなく、行動制限・隔離がおこなわれていた。

2

問題対処型ケアの時代

本人の行動を「問題行動」ととらえ、その場しのぎで対処する(対処療法的)。1980年前後から個別の可能性を考えたケアや音楽療法も。

3

人権擁護のケアの時代(1990〜)

認知症の人の生活を支えると同時に、人権擁護の視点が求められるように。

4

全人的ケアの時代(1990後半〜)

患者ではなく生活者として全人的にとらえ、チームアプローチでケア。介護保険導入後はユニットケア・地域包括ケアで「生活の再構築」へ。

流れの覚え方:制限 → 問題あつかい → 人権 → まるごと(全人的)。良くなる方向=「その人らしさ」を大切にする方向。

1. 認知症ケアの歴史
理念がどう育ってきたか

日本の認知症ケアは高齢者介護と一体となって発展してきました。理念や方法論がなく行動制限・隔離がおこなわれた「ケアなきケアの時代」、行動を「問題行動」ととらえて対処する「問題対処型ケアの時代」、人権擁護の視点が求められる「人権擁護のケアの時代」(1990〜)を経て、認知症の人を生活者として全人的にとらえる「全人的ケアの時代」(1990後半〜)を迎えました。介護保険制度の導入後は、大規模施設の集団ケアからユニットケアなどの小集団・個別ケアへ、また地域で暮らし続けるための支援が地域包括ケアシステムのもとで展開され、生活障害へのアプローチを通じて「生活の再構築」を図る考えが基盤になっています。

むかしは「しばる・閉じこめる」しかなかった時代(ケアなきケア)。次に、こまった行動を「問題」とみて、その場で何とかする時代(問題対処型)。やがて「その人にも人権がある」と気づき(人権擁護)、最後に「病人あつかいせず、その人まるごとを支えよう」となった(全人的ケア)。介護保険のあとは、大部屋でまとめて世話するのではなく少人数でその人に合わせるケア(ユニットケア)や、住んでいる地域で支えるしくみ(地域包括ケア)に進みました。

2. 認知症施策の歴史
「痴呆」→「認知症」、そしてオレンジプランへ

2004年12月、厚生労働省により行政用語が「痴呆」から「認知症」へ変更されました。これを契機に「認知症を知り地域をつくる」キャンペーンが展開され、認知症を正しく理解して本人・家族を見守り応援する「認知症サポーター」(100万人キャラバン)の養成が進みました。その後、国の施策は計画として整えられていきます。

施策(年)ねらい・ポイント
「認知症を知り地域をつくる10ヵ年」(2004〜)「痴呆」→「認知症」への名称変更を契機に展開。認知症サポーター100万人キャラバンで、地域で見守り支える人を育てる。
オレンジプラン(認知症施策推進5か年計画/2012)「本人の意思が尊重され、住み慣れた地域で暮らし続けられる社会」を目指す。7つの基本目標(標準的な認知症ケアパスの作成・早期診断早期対応・若年性認知症施策の強化・人材育成 など)。
新オレンジプラン(認知症施策推進総合戦略/2015.1)2025年に65歳以上の約5人に1人が認知症になる見込みを背景に策定。7つの柱。1つ目に「認知症への理解を深めるための普及・啓発」、最後の柱に「認知症の人やその家族の視点の重視」

新オレンジプランで「認知症の人やその家族の視点の重視」が柱に入ったことを受け、認知症の本人たちが立ち上げた日本認知症本人ワーキンググループ(JDWG)が誕生。その後の認知症施策推進大綱でも「本人からの発信の機会を増やす」ことが掲げられ、本人の声を中心に置く方向がより強まっています。

順番だけ覚えればOK:2004年に名前が「痴呆」→「認知症」に変わり、サポーターを育て始めた。→ 2012年オレンジプラン(最初の計画)→ 2015年 新オレンジプラン(パワーアップ版。「2025年に5人に1人」が有名)。だんだん「本人の声を大事にする」方向に進んだ、という流れです。

3. 認知症ケアの3つの理念
国試の本丸。ここを固める

① パーソン・センタード・ケア

本人を主体としたケア。専門職が本人に代わって方針を決めるのではなく、「本人がどうしたいか」に寄り添い、本人を抜きに決めないことを前提とする。

② 尊厳の保持・権利擁護

身体拘束・行動制限・生活活動の制限を「ケア」の名のもとに行わない。権利侵害には権利擁護を。制度として成年後見制度・日常生活自立支援事業がある。

③ 住み慣れた地域で暮らし続ける

認知症の人も社会を構成する生活者地域包括ケアシステム認知症カフェ・認知症サポーターなど、地域全体で支え合う。

3つの土台に共通するのは「本人を中心に、その人らしい生活を続けられるように支える」という姿勢。理念からケアの視点が生まれ、具体的な実践へとつながります。

WORD:パーソン・センタード・ケア / 新オレンジプラン / 日常生活自立支援事業
国試で問われる用語

パーソン・センタード・ケア:本人を主体とし、「本人を抜きに決めない」ことを前提に、本人がどう生きたいかに寄り添うケアの理念。新オレンジプラン(認知症施策推進総合戦略):2015年策定。7つの柱で、認知症の人にやさしい地域づくりを総合的に進める国の戦略(「2025年に5人に1人」が背景)。日常生活自立支援事業:判断能力が不十分な人の福祉サービス利用やお金の管理などを支援する、権利擁護の制度(成年後見制度とともに押さえる)。

試験に出るところ
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理解度チェック
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Q1. パーソン・センタード・ケアに関する記述で、適切なものはどれ?

正解はB。パーソン・センタード・ケアは「本人を主体としたケア」。専門職や家族が本人に代わって決めるのではなく、本人がどうしたいか・どう生きたいかに寄り添い、「本人を抜きに決めない」ことを前提とします。

Q2. 認知症施策に関する記述で、適切なものはどれ?

正解はB。「痴呆」→「認知症」への変更は2004年(厚生労働省)。施策は、オレンジプラン(2012)→新オレンジプラン(2015)→認知症施策推進大綱、と進みました。新オレンジプランはむしろ「認知症の人やその家族の視点の重視」を柱に掲げています。

Q3. 認知症の人の尊厳の保持・権利擁護に関する記述で、適切なものはどれ?

正解はB。判断能力が不十分な人の権利を守る制度として、成年後見制度や日常生活自立支援事業があります。身体拘束・行動制限を「ケア」の名のもとに行うことは原則許されず、住み慣れた地域で暮らし続けられるよう支えることが理念です。
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