中核症状に環境や周囲との関わりが加わって生じるBPSD。心理症状(妄想・抑うつ等)と行動症状(徘徊・異食等)、その要因と「悲鳴」としての捉え方、ケアの視点を国試の形に整理。
BPSDは「脳の故障(中核症状)+まわりの環境」で出る症状。徘徊や妄想は"問題行動"ではなく、本人が困って出している"サイン(悲鳴)"。原因をさがして環境を整えるのがケアです。
行動・心理症状(BPSD)は、認知機能の低下による中核症状に加え、環境や周囲の人々との関わりの中で感情や行動の反応として現れる症状です(妄想・不安・徘徊・異食など)。要因には脳の器質的・身体的・心理的・環境的なものがあります。大切な視点は、BPSDを「問題行動」と決めつけないこと。現在では「本人が置かれた環境との不適応」で生じると捉え、むしろ不適切なケア環境=介護職側に課題があると考えます。BPSDは、その環境に置かれた認知症の人の「悲鳴」として受け止めることが必要です。
昔は徘徊や妄想を「問題行動」と呼んで"おさえこむ"のがケアだとされました。今は逆。BPSDは「環境が合っていない」サイン=本人の悲鳴で、ケア側(環境)に原因があると考えます。だから対応は「やめさせる」ではなく「なぜそうするのか理由をさがして、環境を整える」。妄想で多いのが物盗られ妄想(いちばん身近な介護者が疑われやすい)。これは超頻出。
記憶・見当識・実行機能などの障害(脳の故障)。
不適切なケア環境、孤独や不安、身体の不調などが加わる。
妄想・抑うつ・徘徊・異食などが「悲鳴」として現れる。
原因をさがし環境を調整すれば軽減できる。やめさせるのではない。
BPSDの6分類:①思考の障害(妄想・誤認・猜疑心)②感情の障害(不安・抑うつ・焦燥・易怒)③意欲・関心の障害(無関心・無気力)④衝動制御の障害 ⑤幻覚・錯覚 ⑥睡眠・覚醒リズムの障害。
| 心理症状 | 特徴 |
|---|---|
| 混乱・戸惑い | 早期から出やすい。見当識障害・記憶障害で「今どこにいるか」がわからず混乱。できると思っていたことに失敗して戸惑う。 |
| 妄想(物盗られ妄想) | 出現する割合が高い。いちばん身近な介護者が「盗った」と疑われやすい。内容は被害的だが断片的で、体系には発展しにくいのが特徴。 |
| 抑うつ | 意欲・自発性が低下し悲観的に。引きこもり・活動低下が続くと、身体機能の低下や認知症の進行を早める。 |
| 介護への抵抗・拒否 | 何をされるか理解できない不安や、「まだできる」という自尊心からの拒否など、心理的側面が要因。 |
心理症状へのケア:①非難・叱責しない(失敗を責められると自己否定・意欲喪失につながる)。②受容と共感——ここでの「共感」は相手と同じ気持ちになることではなく、その人が心に描いている世界を、自分が体験しているように感じること。③刺激の調整(音・光・においも負担になる)。④環境の工夫(表札やマークで場所をわかりやすく、物はいつも同じ場所に置く=物盗られ妄想の予防)。
行動症状へのケアの基本:その場限りでなく多面的にアプローチ(トータルケア)し、原因を探って環境を整える。具体策は①脱水の予防(こまめな水分補給)②排便コントロール(便秘が徘徊・不眠の原因になることも)③皮膚の状態や身体の観察(かゆみ・痛みが行動症状の要因に)④不自然な環境をつくらない(物を全部片付ける・全部の扉をロックは違和感を与え悪化)⑤人と場所を変える(介護職を交代し気分転換)。目標は生活障害の軽減です。
BPSD(行動・心理症状):中核症状に環境や関わりが加わって生じる感情・行動の症状。「問題行動」ではなく環境との不適応=本人の「悲鳴」と捉える。物盗られ妄想:身近な介護者が盗ったと疑われやすい妄想。被害的だが断片的。弄便:便を触る・いじる不潔行為。便と認識できないことが背景にあり、排便コントロール等で対応する。
Q1. 行動・心理症状(BPSD)の捉え方として、適切なものはどれ?
Q2. 物盗られ妄想に関する記述で、適切なものはどれ?
Q3. 認知症の行動症状とケアに関する記述で、適切なものはどれ?