ケアの目的=その人らしい生活の支援(病気の回復ではない)。パーソン・センタード・ケア、介護職自身を知る「自己覚知」、そして関わりの前提となる6つの態度・姿勢を国試の形に整理。
認知症の人と関わる前の「心がまえ」のお話。"病気の人"でなく"その人(生活者)"を見ること、自分のクセを知ること(自己覚知)、そして受容・尊厳といった態度がテーマです。
認知症ケアの目的はその人らしい生活が送れるための生活支援であって、病気を治すことではありません。「認知症は生活障害」と捉え、介護によって生活上の困難を軽減します。土台となる考えがパーソン・センタード・ケア(T.キットウッドが提唱)——症状は脳の器質だけでなくケアや環境との相互作用で生じるので、BPSDも「認知症のせい」にせず環境(介護職自身を含む)に原因を探すのです。だからこそ介護職は自分の傾向を知る「自己覚知」が必要。そして関わりの前提として、受容・声にならない声を聴く・尊厳を守るなどの態度が求められます。
大事な合言葉は「病気の人じゃなく、その人(生活者)を見る」。パーソン・センタード・ケア(本人を真ん中に/キットウッドが提唱)では、困った言動は"認知症のせい"でなく"まわりの環境(=関わる自分も含む)のせい"と考えて理由をさがします。だから自分のクセを知る(自己覚知)が必要。関わりの基本は受容(言動の裏の気持ちを分かろうとする)・尊厳を守る(失敗を責めない)です。
T.キットウッドは「症状は脳の器質的問題だから仕方ない」と考えるのではなく、本人を取り巻く環境に注目することが必要だとしました。症状の発生要因を次の5つに整理しています。
性格・対処スタイルなど
成育歴・職歴・趣味など
体の調子・病気
既往歴・視力・聴力など
周囲の人の認識・環境(=関わる人)
BPSDは認知症自体でなく環境に要因。「なぜこの行動を?」と理由を探す。
できないことや障害の度合いで能力を評価するのではなく、「生活障害」という視点で捉え、生活上の困難を軽減するのが介護の専門職の役割です。WHO(世界保健機関)が健康を身体的だけでなく精神的にも捉えるように、認知症の人を全人的に見て「病気の人」ではなく「生活者」として介護します。また、認知症の人が10人いれば背景・価値観・ニーズは10人とも異なるため、定型化したサービスではなく個別ケアを。残されている能力(強み)に目を向けることも重要で、感情を表出する力も本人の強みと捉えます。
介護職の言動や対応は認知症の人に影響を与える=介護職も認知症の人にとっての「環境の一部」です。だから自分自身の傾向や性格を理解する「自己覚知」が必要。①思考・受け止め方の特徴や傾向を知る ②個性を知る(個性を場面で使い分ける「意図的なかかわり」) ③心身の状態を把握する(認知症ケアはコンパッション疲労を起こしやすい)。自己覚知の手法に、振り返りである省察(リフレクション)があります。
パーソン・センタード・ケア:T.キットウッドが提唱。症状は脳の器質だけでなくケアや環境との相互作用で生じると捉え、本人を主体にする考え方。自己覚知:介護職が自分の傾向・性格・価値観を理解しておくこと(介護職自身も環境の一部だから)。コンパッション疲労:相手に共感・同情しすぎて、自分の心が疲れてしまう状態。無気力・気分の落ち込みなどが現れる。
Q1. パーソン・センタード・ケアに関する記述で、適切なものはどれ?
Q2. 介護職の「自己覚知」に関する記述で、適切なものはどれ?
Q3. 認知症の人への関わりの前提となる「受容」として、適切なものはどれ?