家族介護者の苦悩と高齢者虐待、認知症を受け入れるまでの受容過程4段階、家族の「息抜き」=レスパイトケア(介護保険サービス・家族会・認知症カフェ)、拒否する家族への関わりとエンパワメントを国試の形に整理。
認知症の人だけでなく"家族"も支える話。受け入れるまでの4つの心の段階、介護に疲れた家族の「息抜き(レスパイトケア)」のしくみ、そして家族の力を引き出すエンパワメントを学びます。
認知症の介護は家族にとって大きな負担で、離職に追い込まれることもあります。だから認知症の人と家族を「一つの単位」として、生活上の支援に加え家族の心理面のケアも行います。家族は認知症を受け入れるまで4つの受容過程(とまどい・否定→混乱・怒り・拒絶→あきらめ・割りきり→受容)を経験し、これは行きつ戻りつ進みます。介護に疲れた家族にはレスパイトケア(息抜き)——介護保険サービス(認知症デイ・ショートステイ等)や、家族会・認知症カフェがあります。そして家族のもつ力を引き出すエンパワメントの視点が大切です。
支えるのは本人だけじゃない、家族もセットで支えるのがポイント。家族は「とまどい→混乱(いちばんつらい)→あきらめ→受け入れ」と心が変わっていく(行ったり来たりもする)。疲れた家族には「息抜き=レスパイトケア」——デイやショートステイで一時的に介護から離れてもらう。在宅介護は虐待につながりやすいので、家族の限界サインに気づくことが大事。最後は家族の力を引き出す(エンパワメント)。
不可解な言動に戸惑い、「まさか」「認知症ではない」と否定する。診断にショックを受ける。
理解不足で症状に振り回され、心身ともに疲労困憊。最もつらい時期。
「認めざるをえない」と割り切る。「問題」の意識が軽くなり、介護への意欲がわく。
あるがままの姿で受け入れる。介護者自身の人間的成長の時期。
ステップ3・4になると当初よりストレスが減り、精神的余裕が出てくる。段階は明確に分かれず、複数が併存することもある。
虐待をおこなった養護者の状況では同居が86.4%。虐待の種類は身体的虐待(68.2%)が最多、次いで心理的虐待(41.4%)、介護等放棄(18.7%)。発生要因で最も多いのは虐待者の性格・人格(57.9%)、次いで被虐待者の認知症の症状(52.9%)、虐待者の介護疲れ・ストレス(50.0%)。家族の介護負担が増すと関係が不安定になるため、限界のサインに早く気づくことが重要です。
レスパイト(respite)=息抜き。介護をする家族を、サービス利用によって一時的に介護から解放することです。家族の負担軽減だけでなく、利用者本人にも安心・安全が保障される視点も必要です。
すべての介護を自分で引き受けようとし、レスパイトケアを拒む家族はメサイアコンプレックス(救世主妄想)に陥っている場合があります。これは認知症の人の主体性を奪い、介護者自身の健康も損ねるため、レスパイトへの支援はとても重要です。受け入れない理由(①他人への抵抗感 ②サービスへの不信感 ③家族間の不一致 ④経済的理由)を丁寧に聞き出します。最終的には、家族のもつ潜在能力・強みを引き出す「エンパワメント」で介護力を高め、家族自身の人生の質も支えます。家族の心理面のケアの第一歩は、対応策の提示より傾聴・受容・共感です。
レスパイトケア:レスパイト=息抜き。サービス利用で介護者を一時的に介護から解放すること。メサイアコンプレックス:救世主妄想。「自分がいないとダメだ」と抱え込み、レスパイトを拒む心の状態。エンパワメント:問題を抱えた人が元々もつ潜在能力・強みを引き出し、本人が主体となって解決していけるよう支えること。
Q1. 認知症の人を介護する家族の受容過程で、最もつらいとされる時期はどれ?
Q2. レスパイトケアに関する記述で、適切なものはどれ?
Q3. 家族へのエンパワメントとして、適切なものはどれ?