脳の機能と構造、記憶の3要素と4種類の長期記憶、加齢のもの忘れと認知症の記憶障害の違い、そして認知症とまぎらわしい症状(せん妄・うつ病)を国試の形に整理。
医学の目で見る認知症。脳のどこが何をしているか、記憶のしくみ、ふつうの物忘れとの違い、そして"認知症みたいに見えるけど違う"症状(せん妄・うつ)を学びます。
記憶は記銘→保持→想起の3ステップで、海馬や大脳皮質が担います。加齢のもの忘れは主に「想起(思い出す)」の低下。長期記憶のうちエピソード記憶(体験)は認知症で早期に失われ、手続き記憶(体が覚えた技術)は保たれやすいのがポイントです。加齢のもの忘れは「体験の一部」を忘れヒントで思い出せますが、認知症は「体験まるごと」を忘れ、忘れた自覚もない。そして認知症とまぎらわしいのがせん妄(意識障害・急激・変動・回復する)とうつ病。この違いを見分けることが大切です。
記憶は覚える→ためる→思い出す(記銘・保持・想起)。年のせいの物忘れは"思い出す"が弱るだけ。覚えてる種類のうち体験の記憶(エピソード記憶)は認知症で最初にやられるけど、体が覚えた技術(手続き記憶=自転車・水泳)は残りやすい。見分けの肝は「年の物忘れ=一部・ヒントで思い出す・自覚あり」「認知症=まるごと・思い出せない・自覚なし」。そっくりさんのせん妄は"急に・波がある・治る"のが違い。
| 項目 | 加齢のもの忘れ | 認知症 |
|---|---|---|
| 原因 | 脳の生理的な老化 | 神経細胞の変性・脱落 |
| 忘れ方 | 体験の一部(ヒントで思い出す) | 体験をまるごと(ヒントでも思い出せない) |
| 進行 | あまり進行しない | 徐々に確実に進行 |
| 自覚 | 忘れっぽいと自覚あり | 忘れたことの自覚がない |
| 日常生活 | 支障はない | 支障をきたす |
記憶は記銘(覚える)→保持(ためる)→想起(思い出す)の3要素。加齢のもの忘れは主に想起の低下です。記憶は保持時間で感覚記憶/短期記憶(約30秒)/長期記憶に分かれ、長期記憶はさらに4種類に分類されます。
自分が体験した出来事の記憶(いつ・どこで)。認知症で早期に失われる。海馬が関与。
一般知識(「みかんは柑橘類」など)。
体が覚えた技術(自転車・水泳)。海馬の関与が少なく認知症でも保たれやすい。
先に経験した情報が後の情報に影響(先入観)。
| 項目 | せん妄 | 認知症 |
|---|---|---|
| 意識 | 意識障害(混濁) | 意識障害ではない(はっきり) |
| 発症・経過 | 急激・1日の中で変動 | 緩やか・急激な変化はない |
| 回復 | 回復性(一過性) | 非回復性・進行する |
せん妄は加齢や認知症を背景に、環境変化・感染症・脱水・薬剤などで起こる一過性の障害。安全を確保し、穏やかに声をかけて落ち着くのを待ちます。うつ病は気分の落ち込みが1〜2週間続き、認知症に似た状態(仮性認知症)を呈することも。励ましは逆効果、午前に調子が悪く午後に軽くなりやすく、自殺願望は回復期に強まるため注意します。
エピソード記憶:体験した出来事の記憶(いつ・どこで)。認知症で早期に失われる。手続き記憶:体で覚えた技術の記憶(自転車・水泳)。認知症でも保たれやすい。せん妄:意識が混濁し、急激に発症して1日の中で変動する一過性の意識障害。認知症(意識ははっきり・進行・非回復)と区別する。
Q1. 認知症で早期に障害されやすい記憶はどれ?
Q2. 加齢によるもの忘れと認知症の違いとして、適切なものはどれ?
Q3. せん妄に関する記述で、認知症と区別できる特徴はどれ?